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「山本一太がやると言うのだから、大丈夫だ」河野太郎×山本一太トークセッション〜 デジタル化がもたらす地域社会の未来〜

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山本 一太(以下 山本): まず最初に、河野大臣、夕方から大事な閣議があるにもかかわらず、こうして日程を調整していただいて、湯けむりフォーラムにご出演いただいたことに心から感謝申し上げます。

河野太郎(以下 河野):伺えなくて本当に残念です。今日はコンサートもあると聞いていたので、ぜひそこで1曲歌いたいと思っていたんですが、またそれは別の機会でやりたいと思います。

山本: 河野太郎が群馬県で歌うことは禁止されているので(笑)そこはちょっと要望に応えられないんですけども、今回はあの素敵な奥様も同行されるようなことも聞いていたので、久しぶりにお目にかかれるのを楽しみにしていました。次回はですね、今大臣もおっしゃったように来年どこかでぜひ草津に泊まりに来ていただきたいと思います。私もどこかで箱根にお邪魔したいと思いますのでよろしくお願いします。

河野:お待ちしています。

群馬県を世界が誇るスマートシティへ

山本: 早速ですが、先ほど河野大臣から、群馬県のデジタルの取り組みについてお話をいただきました。湯けむりフォーラムは、「群馬県を新しい実証実験モデルの拠点として、いろんな提案を形にしていく」ということを一番のポイントとしています。なので、今日はいろんな提案を大臣にぶつける形で進めていきたいと思います。

1つ目は、群馬県を実験場にして、個人のIDを活用した世界に誇るスマートシティを一緒に作りませんかということです。すでに、大臣にはわざわざ群馬県まで視察に来ていただいて、その時に前橋市の「前タク」に乗っていただきました。公共交通機関のコストを抑えつつ、高齢者の方や障害のある方々が少しでも利便性が高くなるような仕組みについて見ていただいて、「これはいいな」とおっしゃっていただきました。個人のIDをもっともっと活用して、デジタル庁がやろうと思っていること、大臣がやろうと思っていることを、群馬県を実験場にしてやれたらと思うんですが、いかがでしょうか。前橋を中心として、「世界に誇れるスマートシティ」を群馬に作ることはできないでしょうか。

河野: 4月にはG7各国からデジタル大臣が来日されますので、そうした方々に群馬県の先進的な取り組みを見ていただきたいと考えています。日本は世界の中でデジタル後進国とされていますが、私たちは頑張って先頭に立とうとしています。また、デジタル田園都市の交付金もありますので、多様なものを活用し、新しいことに取り組むために一太さんのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。私たちもデジタル庁として一生懸命応援しています。

山本: ありがとうございました。デジタル庁、そして群馬県を応援するという力強い言葉をいただきました。今、デジタル交付金の話をしていた時に、マイナンバーカードの申請率・取得率が群馬県は全国でもかなり下位だということを思い出しました。これは、私があまり一生懸命やってこなかったためです。なぜなら、最初に利便性を高めるのが先だろうと、国が前面に出るのが先だろうと思ったからです。これは河野大臣にもお伝えしました。すると、河野大臣から、現在の保険証は原則として2024年くらいに回収して、マイナ保険証に切り替えるという道筋を示していただきました。もし大臣が先頭になってそれをやっていただけるということであれば、群馬県も頑張らなければならないと思っています。ちょっとスタートが遅れたので、全体の申請率や交付率は少ないですが、この1ヶ月一生懸命やってきました。伸び率は13位で、1位になった週もあります。マイナンバーカードの申請率を上げていくために引き続き一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。

河野: 去年のワクチン接種の際に、一太知事が「とにかくワクチンやるぞ」と言って決意を示してくれたおかげで、群馬県には本当にお世話になりました。今回も一太さんがマイナンバーカードをやると言ってくださったので、群馬県は更なる進歩を遂げることができると思います。私たちは全く心配していないので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

山本: ありがとうございます。本日は群馬県の方々、また県外からも多くの方にお越しいただいておりますが、私はマイナンバーカードについていろいろと意見があり、あまり先頭に立って発言してきませんでした。デジタル大臣会合についても、総務省の方から「こんな低い数字で大丈夫か、群馬県」と言われる中、河野大臣が「山本一太がやると言うのだから、大丈夫だ」とおっしゃってくださいました。ですので、新型コロナワクチンの時代から、群馬県は河野太郎大臣に本当にお世話になっているということを、この機会に改めて皆さんにお伝えしたいと思います。デジタル庁としっかりと連携し、群馬県において先進的な実験をいろいろと行っていただけるよう、今後ともよろしくお願いいたします。

ワーケーションと裁量労働制で新しい働き方を実現する

山本: 2つ目の提案は、デジタル庁を群馬県庁舎に移転することです。実は、このアイデアは、河野大臣が群馬県を訪れた際に、「物理的に何かを動かす」という発想はそもそも古いと指摘され、少し凹んだのですが(笑)。

今、群馬県は本当に新しいことをいろいろとやっていて、県庁舎の30階に初めて民間企業を受け入れることを発表しました。これは、他のどの県庁でもやっていないことです。私はデジタル庁のスタッフが働けるように机を配置し、誰でも来れるような環境を作ることができれば良いと思っています。いかがでしょうか。

河野: 県庁を見学した際、「NETSUGEN」という関東平野が一望できるスペースがあって、正直すごいと思いました。ただ、デジタル庁の仕事はテレワークが主流で、役所に来ない人が半数以上いるので、どこにいても仕事ができるようになっています。例えば草津温泉に長期滞在していてもデジタル庁の仕事をすることができます。また、群馬県出身の人が帰省して県庁のスペースを借りてデジタル庁の仕事をする、ということもあり得るでしょう。群馬県はリゾート地が多く、ワーケーションという働き方ができる環境が整っているので、魅力を宣伝してもらいたいし、ワーケーションをやりやすくするための環境整備も進めてほしいと考えています。そうすることで、デジタル庁だけでなく日本中から群馬でワーケーションをする人が増えると思います。

山本: ありがとうございます。今、大臣が言ったように、デジタル庁に来なくても仕事ができる状況を作っているということですが、ワーケーションは非常に可能性があると思います。県庁の一番綺麗な場所に小さなデスクを置いて、みんなが仕事をするときにそこで作業できるような体制を整える。その際、デジタル庁の方にもワーケーションを兼ねて数名来ていただけると良いと思います。また、河野太郎大臣が言ったように、草津温泉や伊香保温泉から閣議に出ることをぜひ実現しましょう。私からも知事会を通じて、できるかどうかはわかりませんが、岸田総理にお願いしたいと思います。

河野: 災害時の危機管理やその他の様々な事柄を考慮すると、遠隔地からオンラインで閣議に参加できることは、非常に重要だと考えています。一太さんの協力で、なんとか実現できるようにしたいですね。

山本: また、公務員にも裁量労働制を導入する、というチャレンジもあります。他の自治体でも実現しているところがないため、これを河野大臣と協力して実現できないかと思っています。実は、群馬県庁は、女性部長級の数が全国1位の38%であり、さらに教育長や県警本部にも素晴らしい女性がおり、女性幹部比率は50%となっています。日本のフィンランドと呼ばれたいくらいですが、さらにきちんと実現するには働き方改革を進める必要があります。裁量労働制については賛否両論があると思いますが、こうした挑戦に一緒に取り組んでいくことが大切ですよね。

河野: はい、群馬県庁は本当に先進的に頑張ってくれていると思います。国家公務員制度担当大臣としても見習わなければならないですね。実は今、地方公務員と国家公務員を兼業できないかというニーズがあるんです。例えばデジタル庁で仕事をしたいけど、送り出す方の仕事も一緒にやりたい。そういうことができないのかといえば、ルール的には全然できるはずなので、例えば群馬県庁の人にデジタル庁に来てもらって、でも100%デジタル庁に来るわけではなく、群馬県庁も兼任します、みたいなことができるんですね。そういう今までになかったような新しい働き方にぜひチャレンジしたいと思います。公務員の裁量労働制については、どういうふうにやったらいいのか、多分群馬県の人事委員会の中で相談をしていただくことになると思いますが、ぜひデジタル庁に新しい形で群馬県庁の人を受け入れて、両方の仕事をやってもらうことはありだと思います。

デジタル会合とこれからの日本

山本: わかりました、ありがとうございます。この分野でも色々な連携ができそうで嬉しいです。また、河野大臣からは一太さんも回ってくれと言われたので、G7のすべての駐日大使館を回り、アメリカだけちょっとまだ大使に会っていないのですが、全ての駐日大使に会いました。そして、一生懸命群馬県の魅力を説明して、高崎や伊香保温泉にもぜひ来ていただきたいとお話ししました。私から見ると、閣僚会合の中でもこれが一番重要だと思います。このことに向けての心構えや、発信するべき内容についてご教示いただけると幸いです。

河野: 来年のG7の会合全体の中で、デジタル分野は、デジタル大臣会合だけでなく首脳会談にもつながっていく非常に重要なテーマになると思います。その議論を群馬県で行えることを非常に嬉しく思っています。また、はるばる日本まで足を運んでくださる閣僚の皆さん、あるいはそのスタッフのみなさんが、この群馬県の温泉でリフレッシュしながら、フレッシュな頭で議論ができることは、すごく嬉しいことだと思っています。高崎のGメッセは非常に広々としているので、日本のデジタル技術を見ていただくには最適な場所だと思います。また、事務所の外にもスペースがありますので、日本の自動運転技術や最新の技術を実際に動かして見ていただくこともできるでしょう。群馬に来ていただくのですから、群馬のソウルフードや美味しい食事、お酒を楽しんでいただくことも大事だと思います。一太さんと相談して、どういったことができるか考えていきたいと思っています。

山本: ありがとうございます。最後に一つだけ、また大臣にお願いをしておきたいと思います。これは大臣として、というよりは政治家としてのお願いですが、やはりどこかで日本のリーダーになっていただきたいと思います。総理大臣になっていただかなければならないと、ずっと思っています。まずは今の岸田総理にもしっかり頑張っていただかなければなりませんが、どこかで必ず河野太郎の力が必要になる時が来ると思います。この間の総裁選の時は、河野太郎が出るということで知事として全面的に河野大臣のことを応援しました。その後、政調会長だった高市さんのところに行ったら、高市さんがすごく怒っていて(笑)、「太郎を応援するとは驚いたわ、次は私を応援してね」と言われました。高市さん、ごめん考えときますって言ったんですが(笑)、まあ河野太郎がやるときは、同期の仲間である林大臣が手を挙げようが、高市さんが挙げようが、もう河野太郎1本でやりますので、そういう期待があることを踏まえて、しっかり総理になっていただいて、どこかでこの日本をしっかり復活させてください。これについて一言コメントをいただけますか。

河野: ありがとうございます。日本を元気にするために、様々な形で頑張っていきたいと思います。ぜひ、山本一太知事のもとで、群馬県を日本で一番元気な県にするために協力しましょう。

山本: 本日はお忙しい中、お付き合いいただきましてありがとうございました。デジタル担当大臣としての活躍、政治家としての活躍を期待しております。頑張れ、河野太郎! なお、群馬県でカラオケで歌を歌うことだけは禁止です(笑) 以上です。ありがとうございました。

河野: ありがとうございました。

登壇者

山本 一太 群馬県知事

群馬県草津町生まれ。中央大学法学部卒業、米国ジョージタウン大学大学院修了。国際協力機構(JICA)等を経て、1995年、群馬選挙区から参議院議員に初当選。以降、4期連続当選。参院外交防衛委員長、外務副大臣、内閣府特命担当大臣、参院予算委員長等の要職を歴任。2019年から現職。
趣味は音楽活動で、シンガーソングライターとしてこれまで6枚のCDをリリースしている。

河野 太郎 衆議院議員(神奈川県第15区)/デジタル大臣/国家公務員制度担当大臣/内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)

1963年神奈川県生まれ。1985年米国ジョージタウン大学卒業。1996年衆議院議員初当選(当選9回)。外務大臣、防衛大臣等を経て、2022年8月より現職。