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フューチャースカイセッション-子どもたちと描く、群馬の空のみらい-イベントレポート

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空のみらいを大きく変える新技術として社会に普及しはじめたドローン。2025年には実用化が期待される空飛ぶクルマ。
2021年11月13日、次世代空モビリティに触れながら「群馬の未来の空」を考えるワークショップイベント『フューチャースカイセッション-子どもたちと描く、群馬の空のみらい-』が開催されました。
国・県・自治体の関係者と県内の子どもと大人が意見を交わしあった群馬の熱源。群馬県みなかみ町で開催したイベント当日の様子を皆様にお伝えします。

AM.次世代空モビリティについてのインプット

風もなく良く晴れた、まさに“ドローン日和”の土曜日朝。霜が降りた草地もチラホラと見えるみなかみ町の楽天ドローンアカデミー(みなかみ町入須川社会体育館)に、次世代空モビリティに熱い情熱を注ぐ大人たちと未来の空に興味津々の子どもたちが集まりました。

午前中は参加者全員で次世代空モビリティについてのインプットからスタート。普段なかなか接することのできないドローンや空飛ぶクルマについての知識を、経済産業省次世代空モビリティ政策室と楽天グループ株式会社から紹介・解説していただきました。

2025年、近未来に車は空を飛ぶ

出典:経済産業省ウェブサイト Advanced Air Mobility in JAPAN 2021

空飛ぶクルマとは、飛行機やヘリコプターと違い電力で動く次世代空モビリティのこと。コンパクトなデザインや静音性が特徴で、寒冷地や離島など特殊な場所への人や物の輸送やドクターヘリの代用、都市部でのエアタクシーサービスなど幅広い分野での活用が期待されています。

現在は飛行環境や制度の整備を行いながら各地で飛行実験が行われている最中で、2025年の大阪万博に合わせて物流や旅客輸送が始まる予定となっています。より自由な空の活用は様々な地域の課題解決につながり、どこにいても豊かな暮らしが実現できる「新しい移動のカタチ」を生み出します。

出典:経済産業省ウェブサイト Advanced Air Mobility in JAPAN 2021

最初は緊張気味だった子どもたちも「2025年、近未来に車は空を飛ぶ」という具体的なイメージに心を掴まれた様子。新技術の可能性や実現化のために必要な課題解決について、真剣に耳を傾ける姿が見られました。

楽天グループ株式会社からは自社で行っている物流・空撮・点検・警備など様々なシーンで活用されるドローンのサービスや実証実験について紹介があり、人力では7時間かかる山頂への物資輸送を15分と短時間で成功させるドローンの動画も公開。インパクトのある映像を見た子どもたちからは「早く本物のドローンを見たい、操縦したい!」と声が上がり、待ちきれない雰囲気が感じられました。

ドローンに触れる、近づく

その後行われた産業用ドローンのデモフライトとトイドローンの操縦体験は、参加者たちを一気に未来の空モビリティの世界へ引き込みます。組み立て中のドローンの様子やドローンからリアルタイムで撮影される映像を眺める親子。巧みな指使いで大胆にドローンを飛ばす子どもたちの楽しそうな表情。コントローラーを使って空中回転や着陸などの操作を行いながら「難しいけど楽しい!」「どうして床にぶつからないの?」など感想や質問もたくさん飛び交いました。

全体進行を担当した経済産業省の次世代空モビリティ政策室・コミュニティマネージャーの小菅さんは「新しい空モビリティが実用化する時代に活躍するのは、今日参加してくれた子どもたちの世代。今回のイベントは彼らの次世代空モビリティへの興味や思いに触れるいい機会、そして色んな立場の人たちが集まって一緒に空の未来を考える良い出発点になったと感じています」とコメント。自然と参加者全員が未来の空について想いを馳せる時間を過ごし、午前の部は終了となりました。

PM.ポスターセッションワークショップ

午後は午前の知識・体験をもとに、さらに一歩踏み込んだ「群馬の未来の空」を考えるワークショップを実施。開催地であるみなかみ町の特色を活かした「みなかみ町×ドローン」のアイデアを数組のチームに分かれて検討し、ポスターセッションに取り組みました。

イベント開催地 群馬県利根郡みなかみ町

引用:ググっとぐんま公式サイト https://gunma-dc.net/

みなかみ町は群馬県の最北端に位置する自然豊かな地域。水上温泉郷を始めとする多様な温泉群と自然を活かした農業・アウトドアスポーツが盛んな地域で、2017年には日本を代表する自然環境として「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」に登録されました。日本一の流域面積を誇る利根川の源流地としても知られており、人と自然が共に生きる町として「これからの自然と暮らし」を考える活動が近年盛んに行われています。

今回のイベントでは「群馬の未来の空」を考える舞台としてみなかみ町役場職員の解説を聞きながら、自然豊かな地域ならではの発想を行いました。「温泉×ドローン」「観光×ドローン」「環境保全×ドローン」といったテーマをもとに、地域に根ざしたリアルな言葉が近未来の新しい豊かさを描き出しました。

「未来の空」って、どんな空?

大人も子どもも一緒になってテーブルを囲み、アイデアを付箋に書きながら模造紙に貼り付けていきます。途中で手を止め他グループの模造紙を見てまわりながら、「ここのテーブルは数がすごいな」「こちらはゲームと空飛ぶクルマを合わせているよ」と互いに刺激を受ける様子も見られました。大人たちの話しかけによって発想が進んだ子どもも、子どもたちのアイデアに良いヒントをもらった大人もいたようです。互いに創発しあうことでワークショップは進み、グループごとにたくさんのドローン活用方法を思いつきました。

その後、一つのアイデアに絞って活用風景をスケッチし、発想を具体的に形にしていきます。文字で書くことが苦手な子どもも、イラストにすることでワクワクしながら創作を楽しめたようです。付箋の言葉から生まれた豊かなイメージが壁に貼りだされ、皆で作品を見て話をしながらポスターセッションは終了しました。

子どもたちのアイデア紹介

「農業とドローンを組み合わせれば、畑に行かなくても肥料を撒いたり収穫したりできるかな」「みなかみ町の温泉地をドローンで移動できると良いよね」「子どもやお年寄りの話し相手になったり、見守ってくれたりするドローンが欲しい」と子どもも大人も活発に意見を交わして盛り上がったワークショップ。素敵なアイデアスケッチがたくさん生まれた会場から、いくつか事例をご紹介したいと思います。

事例①

「スキー場のパトロールドローン」

・だれのため:スキー、スノボ、山登りの人

・どんなとき:事故や遭難防止 常にパトロール

・どんなところで:人が行きにくい所

「スキー場でそうなんしている人がいないか、常にパトロールしてくれる。防水・防雪、目立つ色。たすけるのは、空とぶきゅうきゅう車」

事例②

「ドローンクラッシュプロジェクト」

・だれのため:ストレス社会に悩む大人たち

・どんなとき:うっぷんがピークに達する年度末

・どんなところで:学校の校庭とか

「ドローンがどういったぶつかり方をするとこわれるのかを実験すると同時に、ぶつけることでストレスを解消してもらうプロジェクト」

事例③

「届ケル!君」

・だれのため:学生や忘れた人

・どんなとき:忘れ物をした時

・どんなところで:会社や学校

「忘れ物をしたら届けてくれるよ。どこでも届けてくれる。できるだけ静かに飛ぶからバレる心配がない!※忘れたことに気づかなかったら、届けてくれないよ!」

事例④

「月のうさぎにあうどろん」

「月のウサギにあう」


ぐんまの「空の未来」

みなかみ町から見えた景色

今後ドローンや空飛ぶクルマといった次世代空モビリティの活用は、群馬県の各地域で新しい暮らしを形作っていくことでしょう。「ワクワクする未来」を実現するためのアイデアは、私たちが暮らす地域から生まれてくる――そんな確信を与えてくれた、みなかみ町の取り組みでした。

2021年12月からは県と自治体、そして楽天グループ株式会社の協力によって『楽天ドローンアカデミー みなかみ校』も開校されたみなかみ地域。「群馬の未来の空」を考える最先端の町から皆さんへ空モビリティの面白さをお届けできていれば幸いです。

最後に、本イベントの企画・運営に力を注いだ関係者の皆さんからコメントを頂きました。『フューチャースカイセッション-子どもたちと描く、群馬の空のみらい-』がきっかけとなって、明るく楽しい未来づくりが進んでいくことを願っています。

コメント紹介

空飛ぶクルマの解説を担当した経済産業省の次世代空モビリティ政策室<室長補佐の伊藤さん>

「ドローンや空飛ぶクルマといった新しい技術も、最終的に利用するのは地域で暮らす住民の皆さん。『どんな風に技術を活用していきたいか』『どんな暮らしが楽しいか』は皆で話し合うことに意義があると、常に考えています。今日ここで生まれたアイデアが大きな日本全体の流れに繋がっていく――話が大きくなりますが、そんな大事な一歩がこのワークショップだったと思います」

空飛ぶクルマの解説を担当した経済産業省の次世代空モビリティ政策室<係長の澤田さん>

「今回のワークショップは自治体や地域の皆さんにドローンを身近に感じてもらうことが出来た良い取り組みになったと思います。新しい便利な技術が地域に根付いたものになるよう、それぞれの地域に合わせた活用方法について、これからも色々な発想をもった人たちが一緒になって考えていけるとよいなと思っています」

全体進行を担当した経済産業省の次世代空モビリティ政策室<コミュニティマネージャーの小菅さん>

「ドローンと空飛ぶクルマを融合した次世代空モビリティの取り組みとして、国・県・基礎自治体・そこに住まう住民でつくる対話の場は全国でも初めての事例となりました。今日子どもたちが何気なく発した言葉や描いた絵が数年後に現実になる――そんな未来に繋がる会になったと感じています。」

ドローンのデモフライト・操縦体験を担当した楽天グループ株式会社の<遠山さん>

「地域の子どもから大人まで幅広くご参加いただいた本イベント、子どもたちのアイデアには学ぶところも多く良い機会を頂きました。ドローン業界のリーディングカンパニーとして、楽天グループ株式会社が培った知見やノウハウを社会貢献に活かせるよう、今後もみなかみ町の皆さんと共に未来の空や地域について考えていきたいと思います」

みなかみ町を紹介してくれたみなかみ町役場の<小野さん>

「みなかみ町を考えるワークショップは他にもありますが、テーマが『空』だったのは初めて。自然や森、水、観光などの特徴を参加者の皆さんに理解していただきながら、大人も子どもも楽しくワークショップを進めることができました。皆さんが笑顔で空の未来を描く姿に、みなかみのさらなる可能性を感じたひとときでした」

ワークショップ設計を担当した<山本さん>

「ドローンや空飛ぶクルマといった先端的なテクノロジーとみなかみ町という地域性。異なる2つのテーマをクロスして考えるワークショップは(子どもたちにとって)難しいかなと心配していましたが、驚くほど多くのアウトプット・自由で素晴らしいアイデアがたくさん出てきました。子どもたちも楽しんでくれたようで、良いワークショップができたと思います」

全体のコーディネートを担当した県庁担当者<原口さん>

「今回のイベントを通じて、行政・民間企業・地域の方々と様々な立場の人を交えた場づくりができたことを嬉しく思います。今後も空モビリティに限らず、新しい技術や取り組みについて共に考え意見を交わせるような企画に挑戦していきたいです。ステキなアイデアがたくさん出た本イベント、大成功だと感じています」

(ライター:西 涼子、撮影:合同会社ユザメ 市根井 直規)