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群馬の「空の未来」を考える!「フューチャースカイセッション2」イベントレポート

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空の未来を作る新技術として期待されている、ドローンや空飛ぶクルマ。2025年には実用化されるという次世代空モビリティをテーマに「群馬の空の未来」を考えるワークショップイベント『フューチャースカイセッション2 @自然史博物館』が開催されました。
富岡市の「群馬県立自然史博物館」に現れた多種多様なドローンの姿を前に、子どもたちはどのような空の未来を描いたのでしょうか。イベント当日の様子を皆様にお伝えします。

<イベント概要>
開催日:2023年2月19日
開催地:群馬県立自然史博物館(群馬県富岡市)
対 象:群馬県内在住の小学生20名

未来の空を考えてみよう!

昨年開催された『フューチャースカイセッション』に引き続き、ドローンや空飛ぶクルマに興味津々の子どもたちとご家族が参加した本イベント。ドローンが飛ぶ様子を見たことがある子や空飛ぶクルマの存在を知っている子も多く、開始前から会場内の機体に注目が集まっていました。

ドローンとは無人航空機全般を指し、未来の空を活用する次世代空モビリティとして、娯楽・産業・スポーツなど、幅広い分野からの注目を集めています。日本では2022年の12月から「無人航空機操縦者技能証明」が始まり、運航ルールや機体認証といった制度も整備されました。

出典:国土交通省 無人航空機レベル4飛行ポータルサイト

これまではレベル1~3の飛行までしか許可されていませんでしたが、レベル4とされる「有人地帯での目視外飛行」が可能となり、さらに利活用の幅が大きく広がったと言えます。民家の上を飛行し荷物を届けたり、災害時の救助活動や救援物資の輸送を行ったり、有人開催のスポーツ会場やライブ会場などで空撮をしたりすることが出来ます。

出典:経済産業省ウェブサイト Advanced Air Mobility in JAPAN 2021

また、2025年の大阪・関西万博に向けて実用化が進む空飛ぶクルマも、より自由な空の活用を考える上で重要です。飛行機やヘリコプターとは違い電力で動く次世代空モビリティは、コンパクトなデザインや静音性を特徴とし、寒冷地や離島などの特殊な場所への輸送やドクターヘリの代用、都市部でのエアタクシーサービスなどの活用が期待されています。

ドローンの進化、そして空を飛ぶクルマの登場は「自由で新しい移動のカタチ」を生み出します。近い未来に実現する新たな技術を前に、これからの暮らしはどう変わるのか――そんな問いかけに、会場の子どもも大人も真剣に耳を傾けながら考えました。

新たなスポーツ「ドローンレース」

続いて、国内のドローンレースチーム『JAPRADAR(ジャップレーダー)』の皆さんから、「ドローンレース」についてご紹介いただきました。

出典:The World games 2022ドローンレース世界大会の旅

ドローンレースとは、パイロットがドローンを操縦して飛行速度や技術を競い合うスポーツのことです。レースは世界各地で開催されており、新たなスポーツとしてファンが増えています。2022年には“第二のオリンピック”と言われる「The World Games」にてドローンレースが開催され、日本代表として『JAPRADAR』のパイロット・上関風雅選手が出場し、世界第六位の好成績を残しました。

当日は『JAPRADAR』のパイロットである上関風雅さんと高橋元さん、そして代表監督を務める上関竜矢さんより、ドローンレースの解説と実際にレースで使うドローンの飛行実演をしていただきました。小型のドローンが室内を飛ぶと「すごく速くて、光ってる!」「カッコイイ!」と歓声が上がり、子どもたちは大興奮!ドローンが撮影する動画をリアルタイムで視聴しながら、パイロットの目線を体験しました。

出展:JAPRADAR Youtube

また、ドローンの利点を活かした写真・映像撮影についてもご紹介いただきました。地上から打ち上げられた花火を間近で撮影する様子や、時速160キロのレーシングカーを追いかける臨場感のある動画は、子どもも大人も感動した様子です。

パイロットの高橋さんは「ドローンの世界は大人でも知らないことが多く、若い人でも活躍できるところが魅力です。ドローンがあることで、どんな“今までできなかったこと”ができるようになるか、ぜひ皆さんと一緒に考えてみたいです」とコメント。会場では大型のドローンや飛行機に似た翼を持つドローンなど、種類ごとの長所を学びながら、これからの社会の中でどのようにドローンが活用されていくのかを考える時間を過ごしました。

ドローン・デモフライト!

レクチャー後は中庭に移動して、ドローンのデモフライトを見学。パイロットの操作でドローンが真上に飛び立つと、参加者だけでなく博物館の来場者も集まり、安定して高度を上げ飛行するドローンを見守りました。パイロットの操縦する手元のディスプレイや会場内のモニターにはドローンが撮影した景色が映り、遠景を楽しんだり、サーモグラフィーで辺りを見まわしたりして楽しみました。

フライトが終わると、子どもたちからの質問タイム。「どれくらいの高さまで飛べるの?」「狭いところでも入れるの?」といった飛行に関する質問だけでなく、「ドローンの値段は?」「どんなモーターを使っているの?」といった具体的な質問も飛び出しました。

最後は全員で集合し、ドローンの機体と共に写真撮影を行いました。ドローンを触ってみたい子どもたちが順番に機体を手にし、「ドローンの種類や技術を知れてよかった」「自分でもドローンを飛ばしてみたい!」という感想が聞こえてきました。

「未来のドローン」を考えるWS

イベント後半は室内に戻り「未来のドローン」を考えるワークショップを実施しました。前半で学んだドローンの種類や知識、活用方法などをベースに、“群馬県×ドローン”の可能性を探りました。

新たなドローンのアイデアを生み出すために使われたのは、二つの素材。一つは「ドローンとAIでナスカの地上絵を新発見」や「事件がどこで起きても一分以内に到着する」など、実際に世界で使われているドローンの利活用について書かれた箱です。ドローンが実装される前の様子と実装されてからの情報が書かれており「どんなことにドローンは役立つのか?」という問いを考える手助けになりました。

また、もう一つの素材は、群馬県民にお馴染みの「上毛かるた」です。県内の地名や特長とドローンの技術を組み合わせることで、未来のドローンの姿を考えます。

頭で考えるだけではなく、実際に手も動かしてワークを行いました。紙コップやモール、折り紙などの工作素材を使って、子どもたちはそれぞれイメージした未来のドローンを表現。上関さんからは「椅子×ドローン=空飛ぶ椅子」や「ざる蕎麦×ドローン=空を飛んで配達する蕎麦」といったヒントも貰いながら、それぞれのアイデアを具現化しました。会場内に置かれた実際のドローンを観察し、ドローンのカメラやバッテリーなど、細かい部分までこだわって作る様子も見られました。

子どもたちの作品紹介

当日、子どもたちが制作した作品をいくつかご紹介致します。最先端のドローン技術と豊かな発想から生まれた、自由な「未来のドローン」の姿をご覧ください。

作品:じゅうすのふんすい

だれのため:みんな
どんなとき:つかれたとき
どんなところで:いろんなところ
コメント:いろんなところでのみものがのめる。じゅうでんできます。

作品:カメがたドローン(りくかいりょうよう)

だれのため:うみのないぐんまけんの人
どんなとき:かいさんぶつがほしいとき
どんなところで:うみからぐんまへはこびます。
コメント:こうらににもつをのせます。下にほるドリル?もついてます。

作品: かみなりでんりょくでとおくまでとぶ

だれのため:とおくにいて、にもつやたすけをまっている人
どんなとき:さいがいや、とおくににもつをとどけるとき
どんなところで:むじんとう、だいとかい
コメント:かみなりのでんりょくをつかい、とおくまでとんでいくようにする

群馬県の「空の未来」

「食べられるドローン」や「自然のエネルギーを使うドローン」など、ユニークなアイデアが生まれたワークショップ。子どもたちは互いの作品を鑑賞しあいながら、さらなる空の未来について考えを深めました。

セッション終了後、会場となった「群馬県立自然史博物館」館内ではドローンを使った動画撮影を実施。イベントに参加した子どもたちが手で作るアーチの中を撮影用ドローンが飛行し、大きな恐竜の模型や植物のジオラマなどと共に館内の様子を納めました。こちらの動画は「群馬県立自然史博物館」のホームページにて公開される予定ですので、ぜひご覧ください。

子どもたちが大人になる頃には実現する、今より自由な「空の未来」。次世代の空モビリティがどんな活躍を見せてくれるかは、これからの時代を担う子どもたちの自由な発想に委ねられています。この『フューチャースカイセッション2@自然史博物館』での経験を活かし、明るく楽しい未来づくりが進んでいけば幸いです。

セッションを終えて

イベントに参加した山本さんご家族(ご両親)

「今回のイベントには親子4人で参加しました。ドローンを操縦しているところを間近で見たり、ドローンレースのパイロットの方からお話を聴いたりする貴重な経験は、子どもにとってドローンを身近に感じる機会になったと思います。これから人の手助けをしたり、人を幸せにするドローンがたくさん開発されていけば良いですね。子どもたちが見て・触れて・考える場を作っていただき、ありがとうございました。」

イベントに参加した山本さんご家族(お子さん)

「参加したきっかけは、学校で配られたチラシです。もともと車が好きだったので、自由に家を移動できる『ドローンハウス』を作りました。目の前でドローンが飛ぶところを見れたのでよかったです。楽しかった!」

全体進行を担当した群馬県嬬恋村観光大使(元経済産業省次世代空モビリティ政策室)の小菅さん

「イベントが始まったばかりの頃は子どもたちも緊張していたようですが、ドローンが出てきた途端、楽しそうにドローンを見たり質問したりする姿が見られました。自由なアイデアで工作する子もいれば、なかなかアイデアが進まない子もいましたが、そういう部分も含めて、参加者が思い思いの未来を描けたのではないかと思います。」

空飛ぶクルマの解説を担当した元経済産業省次世代空モビリティ政策室の澤田さん

「子どもたちにドローンの実機を見せると『ドローンをどう使おうか?』と考える子がいたり、『ドローンのモーターってどうなっているんだろう?』と興味を持つ子がいたり、色んな子どもたちの発想に触れる機会となりました。改めて『子どもの発想が未来を創る』ことを実感し、今後も子どもたちと一緒にドローンの使い方や機体について考える場を大事にしていきたいと思いました」

ワークショップ設計を担当した山本さん

「子どもたちへ工作の道具を与えると、みんな勝手に考えて、自由に工作を始める様子が印象的でした。また、群馬県独自の文化である『上毛かるた』の力強さも感じましたね。それぞれのかるた札を解説しなくても理解してくれて、自然と“群馬県×ドローン”のアイデアが生み出されていきました」

『JAPRADAR』の上関風雅さん(写真左)と高橋元さん(写真右) 

「私は小学校三年生の頃からドローンレースを始め、中学二年生になった現在もパイロットとして活動しています。世界のドローンレースでは同年代の若いパイロットが多く活躍しているので、子どもたちにドローンやドローンレースに興味を持ってもらえて良かったです。今後もドローンを楽しんでほしいと思います。」

「元々カメラや動画撮影に興味があり、ドローンを使った空撮を始めました。高速で空を飛ぶドローンが撮影するFPB(First Person View)動画は、まるで鳥の目線を体験できるような疾走感が魅力です。今日は子どもたちにドローンのことを知ってもらい、楽しくワークショップを体験してもらえたので嬉しいです。体験したことを家族や友達にお話いただき、多くの人にドローンの面白さが伝わればと思います。」

企画のコーディネートを担当した県庁の稲村さん

「今回のワークショップは、子どもたちにとって身近な工作をしながらドローンについて考えるプログラムとなりました。手を動かし考えることで、楽しく遊びながら学べる場が実現できたと思います。今後も『未来のこと』や『社会のこと』を考えるきっかけとなるようなイベントを企画していきたいです。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。」

当日ご参加いただいたみなさんと撮影した自然史博物館PV

(ライター:西 涼子 フォトグラファー:合同会社ユザメ 市根井 直規)