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日経テレ東大学「Re:Hack」特別セッション
-沈みゆく地方と生き残る地方、その分かれ道は-

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話題のYouTube番組「日経テレ東大学」と群馬県がコラボした「Re:Hack」特別セッション。レギュラーのひろゆきさんとプロデューサーのパンダさんが登壇し、山本一太県知事と熱いセッションを繰り広げます。さらにレギュラーの成田悠輔さんは海外のどこかからリモート参加の予定でしたが、Wi-Fiがつながらない状況のまま、ひろゆきさんと山本知事のガチンコ勝負。会場は多いに盛り上がりました。

沈むのか?生き残るのか? 地方の行く末を考える

パンダ:私から今回のテーマを発表してお二人にお渡しします。知事は2回目のRe:Hackなので、ちょっと込み入ったテーマ「沈みゆく地方と生き残る地方、その分かれ道は」というお題でお話いただければ。まずは知事、ごあいさつをお願いします。

山本 一太(以下 山本):皆さん、湯けむりフォーラム2022、この特別セッションにおいでいただきましてありがとうございます。やはりメディアを取り巻く状況は変化しておりまして、20代、30代の人はもうテレビを見ません。やはり今はネットの配信が情報の主流になっていて、その最先端をいっているのが、日経テレ東大学というYouTube番組なんですね。

 若い方はご存じかもしれませんが、今をときめくマルチプレイヤーのひろゆきさんと、イェール大学助教授の成田悠輔さんという、新進気鋭のお二人がやっているRe:Hackという番組が大変なインパクトを持っています。この番組に出るのは、政治家として非常に危険だと言われていまして、一歩間違えると大変なことになるのですが、勇気を振り絞って2回目の出演をさせていただこうと思います。

ひろゆき:政治家が出ると危ないというのは、先日、日経テレ東大学で木原官房副長官とお話しする機会がありまして、その収録時に副官房長官が「岸田首相の口から増税するという言葉を聞いたことがない」と言ったんです。で、岸田首相が防衛政策で増税すると言った次の日にその動画をアップするという。いわばネット上で副官房長官と戦っているんですけれど、悪いのはこのパンダの人です。

山本:いかに危険な番組かわかっていただけたと思います。

ひろゆき:はっきり言うとほとんどの地方は、うまくいかない確率の方が高いじゃないですか。日本全体で人口がそもそも減っていますし、日本全体が沈んでいるとなると、うまくいくところって、都市部は何とかなりますよ、じゃあ都市部じゃないところは全体にやばいんじゃないのというのが一般論であると思います。群馬的には大丈夫なんですか。

山本: 大丈夫じゃないと思ったから知事になったんです。なぜ知事選に出たかというと、決して前の県政を批判するつもりはありません。あまり目立たない、あまりスポットが当たらない、周りの様子を見ながら動くような、いわゆるどんな指標も全国中位の群馬県では生き残れない。やはりこれは自分がやるしかないと思って知事選に出たので、ひろゆきさんの言う通り、群馬県だけじゃなく地方は非常に危機的な状況、日本全体が危機的な状況なんでね、かなり真実をついていると思います。ただ群馬県は非常に潜在的な魅力、可能性が大きいところなので、必ず起爆させられると思いますし、群馬県の注目度は高まってきているので、しっかり頑張りたいと思います。

ひろゆき: 草津は観光客が増えたり、うまくいっている地域はちょこちょこあるじゃないですか。必ず効く処方箋みたいなものは見つかっていないのですか。

山本: それはないですよね。地方によって個性が違うじゃないですか。例えば私は結構選挙が強いというのが自民党で有名なので、よく若手議員に呼ばれて選挙の講座をやらされるんですよ。その時に「何をやったらいいですか」と聞かれても、「答えはない」と言います。例えば群馬県でやったことが岡山県でうけるとは限らない。これはそれぞれの地域の特徴であって、自分で編み出すしかないと言っているので、ひろゆきさんの質問に答えると、万能薬というものは絶対ない。それぞれの強みを生かした努力をするしかないと思います。

ひろゆき: 自分だからできると思ったのはどういう部分ですか。草津のことは草津の町長が頑張ればいい話じゃないですか。そこが知事になることで、こういう支援は前の知事にはできなかったよねってあるんですか。

劣化東京をつくってはいけない

山本: 例えばコロナ禍対策一つをとっても、あるいはコロナ対策の中で地域に経済支援を届けるとなっても、県だけで言ったところで絵に描いた餅なんですよ。群馬県には高崎と前橋という中核都市が二つあって、それから太田、伊勢崎この4つで人口の7割ですから。そこの首長と連携しなければ、例えば商工会議所を通じてこういう政策をやろうと言っても、地域の企業には届かない。そういうところを今まで以上にしっかり連携することができると思うし。それから、自分がなったら「劣化東京」を作らないという政策を実現できると思ったんです。

ひろゆき: 東京へのあこがれだけでなく、群馬に誇りを持って群馬の中で楽しむ人が増えていくと。

山本: そうです。つまり東京で流行っているような話をだいたい7~8割くらい持ってきて、ちょっと劣った箱ものを作るのは最悪ですよね。そんな劣化東京を作るんだったら、群馬県の自然を生かした独自のものを作るとか。こういうことは自分がいないとできないと思ったし、この3年間はそういう哲学に従って県政を進めてきたつもりです。

ひろゆき: 温泉が出るような地域は、東京にないものがあるから逆に差別化しやすいと思うんですけれど、ただの地方都市の場合は、どうやったらのいいかプランとか方法論とか手段とかありますか?

山本: 確かに活性化するのは難しい地域もあると思います。そういう地域でもよく見ると強みはあるので、それは行政もそこにいる民間企業の人たちも含めて、知恵を絞ってやっていくしかないです。今言ったのは何か共通でできることはあるかって話ですよね。一つ言えるのは、いい首長を選ぶことじゃないでしょうか。

ひろゆき: 草津のように手を掛けたら伸びそうなところはいいと思うんです。でもそうじゃないところの人たちは、何とか未来が良くなるものが欲しいわけじゃないですか。でも、知事や市長の手は限られているので、伸びるところから順番に手をかける。そうすると何にもないところが後回しになって、本当にもう立ち行かないということになるのが、流れとして止められない気がするんですよね。もちろん、市長がやれることだけやって、そこが伸びると県として全体が良くなるから、正しいとは思うんです。やはり多くの地方自治体で県が構成されていて、投資価値が低いところって順番がついちゃうじゃないですか。そこは諦めていただくしかないという構造が日本にはあると思うんですけれど。

山本: 諦めていただくわけにはいかないので、一つの方策として一環して言っているのが、群馬県を大きく広げていくと。そもそも人口が減っているわけです。昔ある農水大臣が言っていたのですが、人口は人の口と書くんだと。人の口が減るんだから、今までと同じ農業をやっていたらダメに決まっているじゃないかってね。国内のマーケットだけを見ていたら、農業は衰退していくので、どんどん日本の農畜産物を外に出さなきゃいけないってことで。やはりフィールドを外にする。いろんな知恵を絞って、自分のところを大きく開いて、外から投資を持ってくる。外から知恵を持ってくる。外からひろゆきさん、パンダさん、成田先生みたいな人を引っ張ってきちゃう。物事を開いて、いろいろな人たちの力を借りる、こういう発想は地方にあってしかるべきじゃないかと思います。

交通の便よさと震災が少ないメリットを生かす

パンダ: 一つ聞いてもいいですか。最近群馬にデロイト トーマツが来たじゃないですか。何をメリットとして来たんですかね。

山本: 群馬県は結構来てるんですよ。例えばミシュランジャパン。ここが本社を東京から太田に移すことになったし、NTTも本社機能の一部を高崎と京都に移すことになったし、まだ言えない企業も多分来ることになる。これいくつか理由があって、まずは首都圏にあって、東京にも近い地の利があるんだけれど、災害が少ないんですよ。震度3までの地震は多いけれど、震度4以上は圧倒的に首都圏では少ないです。交通の便の良さと地震が少ない、そこが企業の経営者の皆さんはメリットとして捉えていると思います。もう一つは森林県で水資源が豊か。都道府県で言うと水力発電が一番なんですよ。それから最近わかったのは、群馬県の日照時間は全国で4位。特に秋から冬までの日照時間が長くて、1位を取ったこともあります。再生可能エネルギーということだから、太陽光や水力に可能性を感じているんじゃないかなと。

ひろゆき: 東京都知事が新築で家を建てるなら、屋根の上に必ず太陽光パネルを置かなければいけないというルールにして、東京都内ですごく叩かれているんですけれど。日照時間の少ない東京で、さらにビルがあるから、太陽が直接当たることがほとんどないんですよね。それだったら、同じお金を群馬に払って、群馬に太陽光パネルを置いた方がよっぽど発電効率がいいじゃないですか。そういう特約は作れないですか。

山本: すごくいいアイデアだと思います。政治的には難しいかもしれないけれど。小池知事は元々環境にはすごく思い入れがあって、これは一つの方策だと思いますが、日照時間のことを考えると、群馬県でやった方がいいんじゃないかな。

ひろゆき: 地震が少ないから精密系工場を作ってもロスが少ないとか、停電が起きづらいとか、水がきれいなことって精密系工場には重要ですよね。フランス南東部のエビアンという地域にレマン湖があるんですけれど、割と時計工場が多いですよね。この地域は環境にもいいし、精密系工場の収入の高い人も多いし、割といい地域だよねって、それなりに名が売れているけれど、群馬は精密系工業も作れて水もきれいなのに、なぜ名が売れないのか。

山本: これまでなかなかPRできていなかった。こういうRe:Hackみたいな危険な番組に出たとしても、群馬の魅力をあらゆる意味で発信していくべき。この間、朝のワイドショーで高崎の特集をやった後に某メジャーテレビ局のプロデューサーから電話がかかってきて、反響がすごいって。群馬県の露出度が最近上がってきています。食べ物も、移住のこともそうだし。例えば水源もあって再生可能エネルギーにもいいとかね。こういうことはPRしていかなければいけない。そこはひろゆきさんの言葉を受けて、もっと群馬の良さをPRしていきたいと思います。

ひろゆき: ちょっと前に、県の魅力度ランキング44位だった群馬県ですけれど、最近はどうなんですか?

山本: え?何ランキング?それ多分なくなると思うんで(笑)。ちょっと強く言っていた時期もありますけれど、私の意図は、群馬県民の人たちがランキングが下がったということで、群馬県の魅力がないと誤解されては困ると思って言っただけであって。あとで世論調査をしたら、「よく言ってくれた」の方が多かったから、もうそれでいい。しつこくレポートを作って、いかに統計学上まったく意味がないランキングかというのを、あちこち送りましたので、もう気にしていません。

なぜ群馬の名が売れないのか

ひろゆき: 草津は知名度としては全国区じゃないですか。でも草津が何県かと聞かれて群馬県と答えられる人は、たぶん2、3割しかいない気がするんです。

山本: しばらく前まで熊本県とか九州だと思っていた人もいますけれども、最近は変わってきているんじゃないかな。ここから広く世論調査をしながら、データを取っていきたいと思います。温泉のことで言うと草津、伊香保、水上、四万と200か所くらいあるし、源泉は何百もあるんでね。温泉王国というのをもっとアピールすることによって、草津が群馬県であるということを大勢の人に知ってもらえるんじゃないかと思います。

ひろゆき: 伊香保とか水上とか地名は知っているけれど、今までなぜ群馬県が付いてこなかったのか。逆に今から群馬県を付けることに水上温泉とか草津温泉の人にはそんなにメリットはないじゃないですか。みんな草津を知ってくれれば十分だから。そこで群馬県という名前を売ることは大事なんですか。

山本: それは大事ですよね。知事になって最初に掲げる目標は県民の幸福度を上げることじゃないですか。もちろん可処分所得を上げるとか、福祉の施設を整えるということもあるけれど、プライドって大事なんですよ。群馬県民でよかったと。

 昨年、高崎Gメッセの大型ワクチン接種センターを作って、ここが全国一の稼働率だったんですね。少なくとも昨年の10月に20代から50代まで接種率が一位でしたから。地元の上毛新聞に出たら、何人も声をかけてくれて「群馬が一位を取ることはなかなかない」って。こういうのってとっても大事。群馬県全体のプレステージが上がるということは、そこに住んでいる人たちにとってすごくいいことだと思います。

ひろゆき: 例えば京都大学と言ったら京都だってわかるじゃないですか。でも群馬は、上州って言ったり、上毛って呼んだり、いろいろな名前で言うから、上州の豚と言われて、それが群馬の豚ってわかる人は、日本全国で5%以下だと思います。そこで群馬を推すんだったら、全部群馬で統一した方が良くないですか。

山本: だけど、上州ってすごく響きがいいんですよ。上州人とかね。例えば木枯し紋次郎は、上州新田郡(にったごおり)三日月村だから。確かに上州新田郡三日月村って言っても、群馬県だとわからない人がいて、相当大勢の人に説明したので、上州=群馬県というのをもうちょっと流行らせたいと思います。

ひろゆき: 地名を統一させるって大事な気がするんですよね。例えば、福島県は昔は会津若松の方が有名だったじゃないですか。でも福島県に統一したおかげで、会津若松ってなんだか時代劇に出てくるような感じで、もう今の都市としてはそんなに知名度はないですよね。だったら、上州、上毛にこだわらずに、群馬で推していく方がまだ先があるのかなって。

山本: でも信州っていうと、長野県のイメージはいいじゃないですか。例えば、群馬県産の魚、ギンヒカリがあります。なぜか長野にもサーモンがあるんですが、やはり信州サーモンって言った方がいい感じなんです。ギンヒカリと聞いて思い浮かぶのが、サーモンじゃなくて米だと。じゃあ名前を変えようといろいろな案が出て、上州サーモンにしようと思ったらダメで、谷川サーモンにしようと思ったら谷川だけで作っているわけじゃないと怒られて。知事が決めてくださいって言うから、「超絶サーモンV3」に決めたんですよ。圧倒的なインパクトでしょ。

ひろゆき: 圧倒的なインパクトなのは認めます。ただダサい。インパクトとおしゃれさの両方があったらよかったなぁ。

山本: そこが難しいんですよね。

ひろゆき: インパクトが大事っていうのは、伝統が何もないものなら僕は賛成なんです。伝統のあるものは、伝統を持ち続けて来た人もいるわけで、そこにV3はやっぱり…。

山本: ちょっと反省しています。今までギンヒカリと言う名前に愛情を持って作ってきた方々のことも考えないといけないので、ちょっとコミュニケーションが不足していて、皆大喜びしていると思っていたら、これが超絶サーモンV3となったら、知事の人災であると。結構皆怒っておられるということがわかったので、よく話し合ってお詫びして説明したいと思います。

群馬県の農畜産物は可能性を秘めている

ひろゆき: でも、商品一個一個のネーミングまで関わるんですね。

山本: やっぱり、ネーミングは大事なことだから。私は群馬県知事になってすぐに肝いりで作った、農畜産物のPRチームがあって、群馬県でこれだという売れ筋の商品について、成分分析しているわけです。いちごだったらやよいひめ。例えば、上州地鶏は、初めて機能性表示食品として認められまして、他の地鶏よりも胸肉だったら、イミダゾールジペプチドという物質が1.7倍になっているとか、すごい大事なものが入っている。

ひろゆき: それが何の物質かわからないですけれど。

山本: ボディビルダーとかアスリートが皆食べてる胸肉にその疲労回復物質があるんですよ。それがほかの地鶏の2倍近く入っています。

ひろゆき: 上州地鶏って、その割には手に入らないって話を聞いた気がするけれど。ブランドを作っていい商品ですよというのはわかるけれど、その商品が手に入らないってね。

山本: 例えば上州で言うと、有名なリンゴ、名月というのがあってね、これすごい人気があって、実は某リンゴが有名な県の知事が私に、ありがとうございますと。何ですかと聞いたら、うちの県も名月いっぱい作ってて、おいしいですよと。群馬県でできたリンゴなのに、群馬県よりもその県の方で多く作っているわけです。これぜひもっと作れるようにしなければいけないと思って、よく農家の方と協力してやりたいと思っています。

ひろゆき: 果物に地名を付けた名前にしておけばよかったのに。名月ってどこでも作れそうな、どこのものだかわからない名前にしちゃったんですね。オリジナルはここですよ。というのをちゃんとやった方が。

山本: そう、それをもっとうまく言えないかなと思ってね。特にA県とかN県とか。群馬で作っているわけだから。結構、群馬県には商品開発力があるんでね。

ひろゆき: 逆に、商品開発したのになんで群馬でたくさん作らないんですか。

山本: それはいろいろな理由があるんでしょうね。そこはよく解明しながら。

ひろゆき: リンゴは本当に労働集約産業過ぎて、傷つけちゃいけないから最後は全部人力でやる。それは儲からんなと思って。群馬県民はお金があるからそういうの手伝わないのかなと思ったんですけれど。

山本: そんなことはなくて、青森のリンゴは、香港でものすごく高い値段で売れている。私が群馬県知事になってから群馬県の農畜産物の輸出は、過去最高になっているので、ここのマーケットをもっと開拓できると思ってます。やよいひめなんて、めちゃくちゃおいしいですから。これらを外に出していく、そういうルートを知事の時代にぜひ作りたい。そうするとまだまだ群馬県の農畜産物は可能性あります。こんにゃく芋は9割が群馬県産だから。こんにゃくだってやりようによってはもっともっと。

ひろゆき: 実際、円安もあって、割と海外は日本中が意識していると思うんですよ。その外国人観光客だインバウンドだっていって、コロナで全部なくなったじゃないですか。輸出に関してはコロナの影響ってそんなにないですか。

山本: 群馬県の農畜産物についてはあまり影響ないですね。例えば上州和牛はフランスで受けていて、その辺りは結構上がっているので。こんにゃくもニューヨークのレストランに出しています。こんにゃくは英語でデビルズタン(悪魔の舌)と言って、新しい論文を見ていると、こんにゃくは昔、砂払いと言って食べると悪いものを外に出すと言われていましたが、最近さらに研究されて色々な機能がわかってね。昨今サバとかブロッコリーと並んでスーパーフードといいますから。だからこんにゃくはものすごく可能性があると思って、知事としてしっかり力を入れていきたいと思います。

いかにして県民の幸福度を上げていくのか

パンダ: ここで、一つ問い立てをしてみたいと思います。経済、農産物、観光もそうですけれど、5年後とか10年後、こういう状態になっていたら群馬県知事として成功だって目標は、どの辺りに持っていますか。

山本: まず、幸福度を上げる目標を掲げたけれど、幸福度って難しいじゃないですか。でも、群馬県で指標を何年か掲げて作ったと。それに照らしていくということで、世論調査をやったら6割くらいの人が幸福だと答えたんですね。これをどこまで上げられるか。よく言われているように、スペインっていい国ですよね。そんなに経済的に豊かでなくても、国民の7、8割の人たちが幸せですって答える国っていいじゃないですか。群馬県をああいう場所にしたいですよね。例えば地域によっては草津温泉みたいなスペシャルな武器があればいいけれど、そうじゃないところに対して、知事としてこれはやろうと思っているのは、引きこもりのお年寄りを引っ張り出すために、スマホを使って一所懸命孤立を防ごうとしているNPOの人たちがいて。その若手の経営者と話したら、安い予算でやっているんだけれど、こういうところを入れてどこかの地域でやりたい。一番いいのは孫マネージャーっていうシステムで、お年寄りって孫の言うことを聞くじゃない。孫マネージャーがしょっちゅう独居老人のところに行くのね。こういう地域があって、なんか知らないけれど群馬県て若い人たちがしょっちゅうお年寄りのうちに行くみたいなのいいじゃない。こういう世界を作りたいですね。

ひろゆき: 都市としての強さは、人口と比例するじゃないですか。そういう意味でやっぱ、人口を馬鹿みたいに増やすっていうのは、ありなんじゃないかなと思うんですけれど。

山本: 知ってて言っていると思いますが、まず、日本の人口を増やしていくのは、すごく難しい。今の人口減少のトレンドを逆転させようと思ったら、半世紀以上かかると思う。じゃあどうするのかと言ったら、やはり群馬県としたら移住とか、交流人口とか、それから外からの方々を迎えるとか、そういうことしかないと思うんですよね。もう一回言いますけれど、胸襟を開いて、いろいろなことを受け入れていくしか生き残る道はないんですよ、地方には。

ひろゆき: 短期で行くと移住を増やすとかありますが、長期的には出生率を上げていかないともたない。となると、10年後20年後にこうなるためにこれをやります、でこのお金が返ってくるのが20年後ですって言うのって、日本国の首相はそれ、不可能じゃないですか。そうすると、知名度のある知事がやり始めるしかないのかなと思いましたけれど。

山本: おっしゃることは正しいと思うんですけれど、やはり出生率を上げるってことは並大抵のことじゃない。ただ、それぞれの人たちの価値観もあると思うけれど、子供が欲しくない人が多いわけじゃなくて、やはり子供がいて教育費がかかるとか。そういう意味で言うと、大事なことは、一人当たりの県民GDPみたいなのがあって、これは企業も入っているけれど、やはり可処分所得は上げていくような政策をしていかなければならない。じゃあどうするのか。今ある産業も大事にしながら、稼げる産業を引っ張ってこないと、結局一人一人の県民の所得は上がらないですよね。可処分所得を上げてある程度生活に余裕があれば、子供をもって育てようという気になるので、そこはやはり目指すべきゴールだと思います。

ひろゆき: そうすると、岸田首相は防衛大綱でめっちゃお金を使うと言っているので、軍需産業を群馬に持ってきた方がいいんじゃないですか。

山本: あまり国政のことを言うといろいろお叱りを受けるんで。 ただ、群馬県に持ってきてすごく効果がある産業っていうのは考えたいと思うし、やはりグラウンドを整えると来るんですよね。要は群馬県で面白いことをやろうという人たちが、どんどん入ってくる状態にすればいいわけです。

ひろゆき: 熊本がTSMCを何千億円かで誘致をして、その後ソニーが工場を作るとなって、熊本はICが増えてるみたいじゃないですか。そんな感じで、群馬も大きな工場を誘致できているのは、そういうグラウンド作りもあったんですか。

山本: 群馬は交通網がいいんですよ。それで企業が来ているんですね。北関東で一番意識しているのは、栃木県と茨城県ですよ。大変なライバルなんですよ。栃木県には日光東照宮があります。茨城にはつくばがありますからね。農産物で言ったら北海道に次ぐところじゃないですか。この二県は企業誘致もいろいろ考えていて、栃木県はいわゆる薬科系の研究施設とか、こういうのを知事が戦略的にやってきた。そこは残念ながら群馬県は全然足りない。もちろん今までのような企業誘致もやりながら、やはりもっと戦略を立てて、先端の企業も呼ぶようにしないといけない。

教育の重要性と課題

ひろゆき: そうすると、つくばもある筑波大学って大事だよねってなる。若い人の多さは大学の影響があるじゃないですか。やはりFランク大学を作ってもしょうがないので、それなりに研究もきちんする大学を作れたらいいですけど何か方策ってあります?

山本: 今ある大学をブラッシュアップするのがいいかな。やはり代表的なのは群馬大学ですよ、上州大学ではないです。群馬大学も医学部が一番偏差値が高いですけれど、ご存じの通り不幸な事件があってダメージを受けたけれど、改革も進んでやっとプレステージが回復してきた。今の学長が積極的で、いろいろなところに進出しようと群馬県とも組んでいます。それから太田にはぐんま国際アカデミーという、小泉政権の構造改革特区第一号の学校を作って、全部英語で授業しているんだけれど、こういう特徴のある学校に、例えば今お医者さんを増やそうとしているんですけれど、来るんですよね。ひろゆきさんはベンチャー起業家でもあると思いますが、ベンチャーやっている企業の子息をひそかにここの高校に送ってくるんです。本当にベンチャーの先端にいる人から、太田のアカデミーの名前が出るということは、太田市の清水市長は個性的な方なんですが、これだけでも市長になられた意味があるんじゃないかなと思いますね。教育はすごい大事だと思います。

ひろゆき: 子息がくるって、規模の小さいものでも結果として家族が来るから、そこに送り込むような人は可処分所得もいいから、納税も増えるみたいな金持ち誘致はありですね。

山本: お金持ちだけじゃなくて、例えばお医者さんね。群馬県はなぜか医師少数県で、前橋だけは多いけれど、ちょっと偏在がひどいんですね。でもお医者さんを増やすには研修医を増やさないといけない。若手のお医者さんと懇談すると、やはり教育なんですよ。そういう意味で、新しいN校的なものを受け入れたり、あるいは太田のアカデミーみたいな先進的なものをやったり、あるいは既存の大学をもうちょっとブラッシュアップしたりサポートしたりとか。あるいは、安易だけれどアメリカの大学を誘致しちゃうとか。

ひろゆき: 進学校を作るくらいなら、そんなに大した予算もかからず作れそうな気がするけれど。

山本: 全国にこれだけ高校があるので、作ればいいってものでもなくて。みんなが来たくなるような高校を作るのは大変ですよ。

ひろゆき: 四谷大塚とかそこら辺の塾と提携してやればいいんじゃないですか。

山本: それも一つの考え方だと思います。とにかく学力を上げるということについては、エキスパートみたいなね。新しい高校と言うと、地域が過疎が進んだり人口が少なくなってきたりすると、高校の再編があって。沼田市というところでは歴史ある高校同士を合併して新しい高校を作ろうってなったんだけれど、地域の人が来ようと思う学校を作らないといけないから、どうやって特色を出そうかってことを今いろいろ相談しているんですけれど、なかなか大変ですね。やっぱり差別化できるスペシャリティみたいなものが必要なんですね。

ひろゆき: 進学校に行くこと自体あまり意味がないと僕は思っているんですけれど…。

この後も、山本知事とひろゆき氏の教育談義はエスカレートしながら延々と続いたところで約1時間のタイムアップを迎えました。

パンダ: 残り時間が少なくなりました。ここまで話した感想を。

山本: やはりひろゆきさんに来てもらってよかった。昔から政治の世代交代とか言ってきたけれど、若くてもつまんない人っているんですよ。年齢ではないですよ、人間の感性は。だけど、ひろゆきさんには自分にないものがある。世代もあるけれどこういう新しい人類、新しい生き物みたいなのが出てくるとうれしい。だから、今回の湯けむりフォーラムで、成田先生はいつもの通り来ないけれど、Re:Hackに来てもらったのはすごくうれしいです。

パンダ: 本当ですか。ありがとうございます。

ひろゆき: 今日、成田さんがつながらなくても、知事がたくさん話すから安心していました。ありがとうございました。

パンダ: いろいろなヒントがあったんじゃないかと思います。それではこれにてRe:Hack特別編in群馬県草津を終了したいと思います。ありがとうございました。

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ライター: 樋山久見子

高崎市出身。タウン情報誌の編集長に就任した後、雑誌やWeb事業を展開する出版社を経てフリーランスへ転身。群馬県内を中心に新聞、雑誌、フリーペーパー、Web関連などを主軸とし、取材と執筆に明け暮れる日々を送っている。

撮影: 丸山 えり

東京都あきる野市出身。群馬県産有機野菜の美味しさに衝撃を受け、2018年前橋市へ移住。現在、群馬県高山村「在る森のはなし」経営チーム。フリーランスの主な仕事:写真撮影。その他、企画・編集・デザイン・ライティングなど。

人や風景の内側にある輝き(光)を写す写真家。

登壇者

ひろゆき 実業家/著作家

1999年インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設、管理人を務める。2005年株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年「2ちゃんねる」の譲渡を発表後、2015年には英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年「ペンギン村」をリリース。現在はフランスパリに拠点を置き、多岐に渡り活動する。

山本 一太 群馬県知事

群馬県草津町生まれ。中央大学法学部卒業、米国ジョージタウン大学大学院修了。国際協力機構(JICA)等を経て、1995年、群馬選挙区から参議院議員に初当選。以降、4期連続当選。参院外交防衛委員長、外務副大臣、内閣府特命担当大臣、参院予算委員長等の要職を歴任。2019年から現職。
趣味は音楽活動で、シンガーソングライターとしてこれまで6枚のCDをリリースしている。