全国群馬県人図鑑-グンマーズ- 特別エディション「教室にようこそ。スペシャルな先輩の話を聞こう・語ろうin前女編」【後編】
全国群馬県人図鑑(-グンマーズ-)は、県外に住む県ゆかりの先輩方をお招きし、母校の現役高校生も交え、学生生活と現在の仕事とのつながりや故郷への熱い思いを聞き出していくトークセッションです。
後編では、前女生からの質問や悩みに武井さんが答えるQ&Aを収録。同じ校舎で高校時代を過ごした武井さんと後輩たちとの距離が縮まるひとときでした。「いつか宇宙へ行きたい」、大きな夢を持って上京した武井さんですが、群馬でやりたいこともあるそうです。最後に明かされるその内容とは?
高校時代は失敗を恐れずに
佐藤アナ もし亜樹さんが今、高校生の時の自分にアドバイスをするとしたら、どんな風に声をかけるか聞いてみたいです。
武井さん うーん、そうですね。なるべくいろんなことを始めて、たくさん失敗をした方がいい、かな? 大人になると毎日仕事も忙しいから、新しいことに挑戦したり、興味本位で何かをスタートしたりしにくくなるので。まぁ、ちょっと悲しい話ですが。
高校生のうちはちょっとでも興味があることは、やってみればいいと思う。個人的に私、高校生を4年やったじゃないですか? 確かに高校生を4年やる人は少ないけど、大学に入れば、浪人している人もたくさんいるし、ダブった1年なんて本当に大したことなかった。
だから本当にやりたいことがあれば、別に休学しちゃってもいいと思う。下の学年に入っても新しい友だちはできるし、もっと発想を自由にして、やりたいことは全部やっちゃうくらでいいのでは、と思います。
佐藤アナ すごく素敵なマインドですね! やっぱり亜樹さんは、留学時代の経験が活きていますよね。
進路で親と意見が割れたら?
佐藤アナ さて、ここからは前女の皆さんから亜樹さんに直接、質問をしてもらう時間にしたいと思います。亜樹さん、これは聞かないで、という質問はありますか?
武井さん ないです! ないです!(笑)
佐藤アナ 良かった〜(笑)。では、亜樹さんにこれを聞いてみたいという方、手を挙げてもらっていいですか?
Q 宇宙関連事業に取り組まれているそうですが、具体的にどういう仕事されているのですか?(辻優里花さん 2年)
武井さん はい。今現在、2社とプロジェクトをやっているのですが、一番大きいのがアルテミス計画(※)という月に基地をつくる計画に関わるものです。月に持っていくいろんなモノを事前に地上で試験したり、シュミレーションしたりする技術が必要なのですが、それに向けた超高性能なシュミュレーターを作っています。
それ以外にも、宇宙旅行関連のことをお手伝いしたり、結構いろんなことをやっています。
※人類を再び月に送ることを目指すNASA主導の月面探査プログラム。月の軌道上に拠点となる宇宙ステーション「ゲートウェイ」をつくり、月面や、将来的には火星探査の中継点とする計画。
佐藤アナ 経産省の時は結構、労働時間が長かったとおっしゃっていましたが、今の生活スタイルはどんな感じですか?
武井さん 実は昨日も徹夜で、朝6時ぐらいまでずっとオフィスにいて、そのまま新幹線に乗って群馬に来ました。先ほどもお話ししたように、5月に出版する自伝の執筆も進めないといけないので、今はそんな感じですね。
でも、アルテミス計画から本の執筆まで、この若い年齢でできることがありがたいし、チャンスは何度も巡ってこないと思っているので、巡って来たらつかむ(笑)。だからがんばるしかない感じです。
佐藤アナ すばらしい〜! ありがとうございます。亜樹さんへの質問、他にありますか?
Q なぜ東京大学を選んだのですか? 一番の理由は何ですか?(2年生)
武井さん いくつか理由はあります。一番は、たくさんの宇宙飛行士が東大の航空宇宙工学科から出ているので、自分も宇宙飛行士を目指すには、そこがいいかなと思いました。とは言え、難関だったので、別の選択肢も探したのですが、次に良いところが東北大でした。でも、私は都会に対する憧れがあったから、やっぱり東北よりは東京に行きたいと思ってがんばりました。
佐藤アナ もっと北に行くよりは、東京に行きたかった。
武井さん 私、都会が好きなんです。もちろん、水がきれいな群馬で育ったこと、自然の中で育ったことは、すごくうれしいし、自然も大好きなんですけど、私のやりたいことがどんどん起きているのは東京だから、そういう意味で東京で仕事をしたかったんですよね。特に学生の時は憧れが強くて…。群馬も好きですよ、もちろん。群馬もめっちゃ好きなんですけどね。
佐藤アナ 実際、東京に出て良かったと思いましたか?
武井さん はい。やっぱり人がたくさんいるから(笑)。いろんなことをしている人がいて、どんどん新しい人に出会える。
あと、個人的に思うのは、やりたいことがある時は、環境を変えるのが一番良いと思うんですよね。自分一人でがんばり続けるとしたら、モチベーションを保つのも大変ですけど、同じようにがんばっている人が周りにたくさんいたら、自然と自分もそうなっていく。逆にSNSから離れて、もっとスローな生活がしたいと思った時は、例えば人が少ない郊外に行って、誰もSNSを見てない環境に行けば、自分も見なくなる。
自分がこうなりたいと思うゾーンの環境には行くことはすごく大事。だから、私は東京に行って良かったなと思っています。
佐藤アナ 他に質問、ありますか?
Q 進路が決まらなくて、親と話し合うのですが本音で言い合うことがなかなかできません。そういう時はどうすればいいですか?(齋藤里菜さん 2年)
武井さん 必ずしも親とわかり合えるわけではないと思います(笑)。 私も親とすごく仲は良いですけど、進路や仕事の価値観に関しては、考えが違うところもあります。特に、私みたいにフリーランスで独立して仕事をするとか、安定を重視している親だったら賛成できないじゃないですか。
私が思うのは、必ずしも親とわかち合う必要はなくて、それより味方を見つけた方がいい。この人みたいに働きたいとか、この人は私の言うことを理解してくれているなとか、そういう人を見つけて、「ブレイン・ストーミング」(※)って聞いたことありますか? その人と自分のやりたいことをブラッシュ・アップしていく。やりたいことを書き出していって、どうするのがいいか、一緒に考えてみるといいと思います。
※数人で自由にたくさんのアイデアを出し合い、問題の解決方法や新しい発想を出す話し合いの手法。
齋藤さん (そういう人を)見つけます!
武井さん がんばって!
「子育ては群馬でしたい」
佐藤アナ 最後に私が聞きたいのですが、将来、群馬に帰ってきて、群馬で仕事をしたい気持ちは、ありますか?
武井さん あります! 群馬の観光とか携わってみたいです。すっごく素敵なところがたくさんあるのに、あまり知られていないところも多いから、もっとたくさんの人が群馬に来て、群馬の魅力度が上がって、たくさんの人がお金を落として、群馬に住んでいる人が豊かになればいいのに(笑)、と思います。
佐藤アナ 今日は群馬県庁の方もいらしてますから、将来一緒にお仕事ができるといいかもしれないですね。
武井さん あと、子育ても群馬でしたいです!
佐藤アナ あ、そうなんですね⁉︎
武井さん 自然豊かな土地でしたいというか、自分が高校まで群馬で育って良かったなと思っているんです。のびのびと育ちましたし。
佐藤アナ じゃあ、もしかしたら群馬で子育てをして、亜樹さんのお子さんがこの前女に入学することもあるかもしれない。
武井さん そうですね。女子高もすごく最高だったので!
佐藤アナ 楽しいですよね〜。私も前女の卒業生ではないですが、女子校出身なので同感です。
武井さん (生徒たちに)女子高、どうですか? 楽しいですよね?
女子たちだけでいると、もう超変なジョーク言ったり、ぼけてみたり、変なことでふざけあったりするじゃないですか(笑)。だから大学に入って最初の1年ぐらい、そういうのがなくなって、なんかつまんないなぁと思っていました。女子高は濃かったから(笑)。
佐藤アナ いや、本当に女子高は今限定ですから、ぜひ楽しんでいただきたいですね。
武井さん 楽しんでください!
佐藤アナ では最後に、亜樹さんから改めて今日集まってくれた後輩たちに一言メッセージをお願いします!
武井さん 今日は、わざわざ私の話を聞きに来てくれてありがとうございました。みんなが自分らしく素敵な進路に進めることを願っています。
佐藤アナ はい、ありがとうございます! じゃあ今日ですね、お忙しい中、ゲストとして来てくださいました武井亜樹さんに、私たちから改めてお礼の大きな拍手を贈りましょう。ありがとうございました!
ライター・岩井光子 写真・市根井直規
登壇者

武井亜樹 フリーランス、3代目バチェロレッテ
群馬県前橋市生まれ。幼少期から宇宙に憧れて育つ。前橋女子高時代にアメリカ・オレゴン州に1年留学。東京大学工学部航空宇宙工学科卒業後は経済産業省に入省。退職し、フリーランスとなってからは、数々の宇宙関連プロジェクトに関わりながら、宇宙に関する記事の執筆や情報発信をするライターとしても活躍。ミスユニバース2022セミファイナリスト。Amazonプライムの人気恋愛リアリティ番組「バチェロレッテ・ジャパン」(バチェラー・ジャパンシリーズの女性版)で3代目バチェロレッテを務める。空手は黒帯の腕前。

佐藤 由美子 フリーアナウンサー/キャリアカウンセラー
NHK前橋放送局キャスターを経てフリーに。NHK、群馬テレビ、とちぎテレビなど関東のテレビ局を中心にリポーターとして活動。その後出産を機に拠点を群馬県にうつす。
5年前に自身の経験をさらに活かすためキャリアカウンセラー資格を取得。若者や女性のキャリア支援のためにセミナーやイベントを開催。
現在はラジオパーソナリティー、イベント司会、キャリアカウンセラー、講師など幅広く活動中。
一女一男の母。