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全国群馬県人図鑑-グンマーズ–vol.3国井健輔さん×高橋史好さん【後編】

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全国群馬県人図鑑(-グンマーズ-)は、県外在住の県ゆかりの出身者、先輩方をお招きして現在のお仕事の話はもちろん、県内で過ごした学生時代の思い出、地元への熱い思いなどを丸ごとインタビューする新企画。

この後編ではゲストのお二人が、視聴者から寄せられた質問に答えます。「やってみると難しさの見積りが出る」「なりたい姿や目標をできるだけ詳細にイメージする」など、夢を行動に移すための具体的なアドバイスが次々飛び出します。

難しさの見積もりを出してみる

西部 群馬県は今、「始動人」というキーワードを打ち出していて、新しい発想や視点を持って最初の一歩を踏み出せる人材を県からどんどん輩出しようと力を入れています。お二人はまさにこの始動人のモデルだと思うのですが、お二人が新しい発想や視点を見つける上で意識していることや心の壁を越えるコツ、新しいことをハードル低く始めてみるコツなど、今日ご参加くださっている高校生の皆さんも興味のあるところだと思うので、お話していただけますか?

※群馬県が新・総合計画の中で2040年までに目指す「自立分散型の地域社会」のキーワードに挙げているのが“始動人”(しどうじん)。始動人とは従来の学力評価にこだわらず、自分の頭で考え、他人が目指さない領域で動き出し、生き抜く力を持つ人のこと。

国井 やっぱり自分の好きなこと、興味のあることをとことんやっていくのが良いと思います。自分の好きなことなら苦にならないし、自分のエンジンになっていきます。初めてのことには緊張も伴いますが、いざやってみると意外と大したことないことって多いんですよ

自分が邑楽ユナイテッドFCに関わり始めたのもたまたまネットで知って、自分からメールを1本入れたことがきっかけでした。こういうアプローチの仕方も、「いきなり連絡するのはどうなの?」と思う人もいるかもしれません。でも、自分も仕事でいろんな営業を受けることがありましたけど、連絡をもらうことにそんなに悪い気はしないし、自分に興味を持ってもらえるのは嬉しいことなので、ひるまずガンガン思いを伝えてみていいと思います。

西部  ありがとうございます。高橋さんどうですか?

高橋 私もほぼ国井さんと同意見です。例えば、先延ばしにしていた宿題をやってみたらそんなに難しくなかった。簡単に終わるものだったみたいな経験って結構あります。一度手をつけると、大体どのくらい難しいのか見積りが出て、一気に解像度が上がると思うので、とりあえずメールを送ってみるとか、先輩に話を聞いてみるとか、アポをとるとか、足が重くても最初の一歩を踏み出してみるべきかなぁと思います。

西部  まず一歩前に進んでみて、一歩がどのくらい大変かを自分の感覚で確かめてみることは大事ですね。頭の中の妄想が、実際より大変に見せていることはあるかもしれません。

「数万人が地元に集う光景」を見たい

西部  ここで視聴者から国井さんに質問が来ているので良いですか? 「邑楽ユナイテッドFCは、地元のスポーツチームにかかわりたい気持ちで探したのでしょうか? サッカー経験者ではない中で、なぜサッカーチームの経営にかかわろうと思ったのかも気になります」と。

国井  元からスポーツチームの経営にはすごく興味があって、チャンスがあればやりたいなと思っていました。転職活動中もプロ野球チームが社員を募集しているのを見かけて、応募を迷ったこともあったくらいです。

なぜサッカーだったのかは、サッカーも大好きだったことと、あとはゼロからチーム作りにかかわれるところが魅力でした。すでに完成した大きなチームで自分ができることは限られると思いますが、今回のように、地元でゼロからJリーグを目指していけるところに夢があるなと感じましたね

西部  続けて「邑楽をどう思いますか?」という質問も来ています。

国井  そうですね。大泉町に実家があって、父親の出身地も邑楽町なので、まさしく「自分を育ててくれたまち」です。邑楽ユナイテッドFCが今後順調に上のリーグに昇格していくと、全国のチームが邑楽に来るようになるんですね。そうすると、自分が育った小さなまちに全国各地のサッカーチームが来て、サポーターも来て、数万人が試合のために集まってくる。そういう光景を見てみたいなぁと思っています。

西部  それは想像すると鳥肌立ちますね! すごく素敵な夢です。

なりたい姿を詳細にイメージしてみる

西部  高橋さんにも質問が来ています。「今度桐生へ行きますが、トゥクトゥクには乗れますか?」

高橋  常に一般開放しているわけではなくて、イベントがある時に乗車できます。今、レンタカーナンバーをとる申請を出しているところで、じきに普通免許があれば運転できるようになります。

西部  わぁ、楽しみですね〜。乗ってみたいです! 続いて高橋さんに2問目です。群馬の高校を卒業してマレーシアの大学に進学した方からのご質問です。「将来群馬で農家をやって第一次産業を支えたい、若者が率先して地域を活性化していきたい、と思っています。海外生活を経た上で海外から見た群馬の良さは何ですか? 群馬をさらに活性化するために若者ができることは何でしょう?」。熱い質問が届いています!

高橋  海外から見た群馬の良さ、そうですね、都心からも湘南新宿ラインでアクセスが良いですし、市内はコンパクトにまとまっていますよね。もう少し遠くまで足を延ばすと大自然があって、温泉があって、観光都市として非常にポテンシャルがあると思います。

もう一つの方の答えは、私のバイアスがかかってしまうかもしれませんが、今は世界のどの国にもスマホや格安フォンが広がって、誰もがデバイスを手に持ってSNSに触れるようになりましたよね。群馬にいながら世界中にリーチできる体感はあるので、小さな一歩として海外向けのコンテンツ発信を始めたりするのはすごくいいのでは、と思っています。

西部  いいですね〜。映えるスポットは県内にも結構ありますよね。

高橋  だるまとか。

西部  だるまとか! 確かに(笑)。もう一問、中央中等の現役生から来ています。海外留学や群馬イノベーションアワードに興味があるそうです。「高橋さんが輝いている要因は、ご縁を得てそれをフル活用するアクションの力だと思いました。そのパワフルさを支える源は何でしょうか?」。チャレンジに必要な勇気を出すための秘訣やモットーなどあれば、教えてください。

高橋  ありがとうございます! 自分がアクティブだというような自己認識はないんですけど、私は将来なりたい姿や何年後かに達成したい数値目標をイメージして、足りていない部分を逆算して動くクセがあることに最近気づきました。

最初にモチベーションが湧いたのがインドで、初めてアントレプレナー(起業家)という存在に会って、その方みたいになりたいという思いが源泉でした。自分が何年後かにこうなっていたいみたいなイメージをできるだけ詳細に作ると、苦しくなくがんばれる気はします。 

西部  確かにそうですね。一定の苦しさは必要かもしれませんが、根性みたいな感じでなく、楽しみも見つけながら少しずつ自分の経験値を広げていくことがおそらく大事ですよね。

改めて群馬の良いところって?

西部  さて、まだまだ聞きたいことはありますが、時間がなくなってきましたので 最後にまだ声を出してない方からも一言ずつ感想をいただいて終わりとなりそうです。中央中等の𠮷澤さん、お願いします!

𠮷澤さん

𠮷澤慶彦 自分も学校の活動でビジネスプランを考えたことがありましたが、理想はあっても実際に行動に移すとなると何から手をつけたら良いかわからなくて、何もできていませんでした。今日はお二人の話を聞いて、まずは身近なことから始めてみるのもいいなと思いました。

西部  ありがとうございます。太田高校の布川さんもぜひ感想をお願いします。

布川さん

布川大翔 自分は今まで結構周りに合わせて行動することが多くて、大学も周りに合わせて東京や県外への進学を考えていたのですが、お二人の話を聞いて、もう一度群馬を見つめ直してみようと思いました。

西部  嬉しいコメントをありがとうございます。群馬は良いところがいっぱいありますよね。私も今日のゲストのお二人も一度県外に出ているので、余計に群馬は良いところだなぁとしみじみ思ったりします。群馬を見つめ直すきっかけにしてもらえたらすごくうれしいです。

丸山 えーと、自分は正直まだ群馬を良いところだと思えたことがなくて、群馬の魅力を教えてほしいです。

太田高校の丸山さん

西部  なるほど(笑) 丸山さんのその気持ちもすごくわかります。正直に話してくれてありがとう! 高橋さん、どうでしょう?

高橋  そうですね。私はトゥクトゥクのプロジェクトを通じて何かをがんばりたい若者に対して動いてくれる群馬の自治体や商工会とつながりを持って、まちのコミュニティだったり、昔から続く伝統のある町内会だったり、そういう集まりを大切にしている、人とのつながりを大事にしているのは群馬の素敵なところだなと思いました。

上京してみると隣に誰が住んでいるかわからなくて、同じ地域に住んでいるという理由で交流が起きることはほぼないですよね。群馬に帰ってきた時、まちの温かさや横のつながりに非常に魅力を感じました。

西部  それは私も帰ってきてすごく思います! 何かをやりたいと思う人に対してはどんどん手を差し伸べてくれますよね、ハートフルな人が多いという印象は私もあります。今後、丸山さんが何かやりたいと思った時にサポートを得られやすい場所だと思いますので、いつか群馬出身で良かったと思える日が来るといいですね。

高橋  私も丸山さんと同じ思いがありましたが、いざ上京してみると、語れる地元があることってすごく良いことだと思います。

西部  わかります!

高橋  グンマーとカタカナで書かれたり、キャッチーにいじられるようなこともありますが、最近はそんなイジリさえおいしく思えるようになって、東京で群馬の子といわれるのが嬉しい自己紹介の一コマになっています。語れる地元が群馬だということを幸せに思いますし、こうして群馬県の企画に登壇させてもらったことも本当に誇らしく思います。

西部  ありがとうございます。これからの活動も期待しています! 国井さん、最後に一言お願いします。

国井  今日は中央中等のお二人、太田高校の皆さん、参加してくれてありがとうございました。群馬出身で活躍しているビジネスマンやスポーツ選手はたくさんいて、彼らを見ると自分もがんばりたいなと思いますし、応援もしたいなと思います。そういう時に自分も群馬出身でよかったと思いますね。皆さんもまずは好きなことを一生懸命やってください。今日のこういったご縁や学校の仲間を大切にして、つながりを大切にしていってほしいなと思います。

(ライター:岩井光子)

登壇者

国井 健輔

1980 年生まれ。太田市出身。高校時代は野球部に所属。都内の大学卒業後に㈱JTB に入社。群馬県内の支店に配属され、法人営業や地域活性化に関する企画営業を担当。その後、本社およびグループ会社で事業開発・事業管理を経験。現在は都内IT企業に勤務。2020年より、地元・邑楽町からJリーグを目指すサッカークラブ「邑楽ユナイテッドFC」の運営をサポート。
クラウドファンディング企画やスポンサー営業等のビジネス面を中心に支援。クラブの目標は、2029 年までにJ リーグに加盟すること。
3 男児の父。

高橋 史好

2000年生まれ。高校在学中に単身でインドへ。16歳の時、インド人起業家との出会いがきっかけで起業を志す。在学中に「インドJKの日常」というテーマでTikTok の運用を開始。慶應大学に進学後、群馬県でトゥクトゥク( 東南アジアの三輪タクシー) の走行を目指し” TUKTUKing” プロジェクトを開始。桐生市で3台が導入され、2年以内に10台の走行を目指している。
2020年に開設したインド向けYouTubeチャンネルは2週間で収益化達成、現在登録者15 万人。2022年、同YouTube 事業を日本のスタートアップに売却。次の事業に向け準備中。

西部 沙緒里 株式会社ライフサカス CEO

前橋女子高、早稲田大学卒。博報堂を経て2016年創業。「働く人の健康と生きる力を応援する」をミッションに、働き盛りの人が抱える生きづらさ・働きづらさを社会全体で支える環境づくりを進める。研修・講演事業、コンサルティング・アドバイザリー事業、Webメディア・オンラインコミュニティ事業の3領域で、全国の企業・行政・学校などとさまざまな協業や伴走支援を行う。 NPO女性医療ネットワーク理事、(独)中小企業基盤整備機構・中小企業アドバイザー。2020年東京からUターンし、新たに(一社)かぞくのあしたを設立。高崎市在住。

布川 大翔 県立太田高校2年生(当時)

宮下 誉生 県立太田高校2年生(当時)

石倉 希実 県立太田高校2年生(当時)

丸山 大輝 県立太田高校2年生(当時)

𠮷澤 慶彦 中央中等教育学校5年生(当時)

原 隆太 中央中等教育学校5年生(当時)