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全国群馬県人図鑑-グンマーズ-vol.5 濱暢宏さん×永島亜紀さん【後編】
全国群馬県人図鑑(-グンマーズ-)は、さまざまな分野で活躍する県外在住・県ゆかりの先輩方をお招きし、ゲストの出身高校の現役高校生も交えながら、学生時代の思い出や故郷への熱い思いを聞き出していくトークセッション。
いよいよラストとなる後編は、高校生が自信を持って前に進むための至極のアドバイスが次々と。失敗こそチャンス。折れない心とポジティブマインドはさすが経営者!
怖いってすごく健全なこと
西部 群馬県は県の総合計画の中で「始動人」と言っていて、「自分の頭で考え、他人が目指さない領域で動き出し、生き抜く力を持つ人」をたくさん育成していきたいという方針を出しています。そのためには、若いうちから失敗してもいいからトライ&エラーを重ねられることが最も大切で、今日のゲストのお二人も、遡れば明らかに踏み出した人、はじめの一歩を踏み出してきた人ということが言えると思います。
やっぱりどんな人も「はじめの一歩が一番大変で一番怖い」っていうところはあると思っていて、今思い返すとこれが大事だったなぁとか、これが自分の背中を押してくれたよなぁとか、一歩を踏み出す秘訣を良かったら聞かせてください。
濱 はじめの一歩って怖いよね。多分心の中に壁がある。でも、僕はその心の壁ってめちゃくちゃ健全だと思っていて、それは体でいう免疫機能と同じだと思うんだよね。つまり、変わりたい願望の裏側には現状の自分を守ろうとする自分がいる。心の壁がなかったらけがするかもしれないし、痛い目に合うかもしれない。だからその怖さは、僕はすごく健全だと思ってます。
その上でどう向き合うか? 一体自分は何が怖いんだろうということを具体化すると乗り越えられる。僕はなんかわからないけど怖かった。会社を辞めることが怖かった理由は結局、自分の父親だったんだよね。父親に叱られる恐怖心があったから、大人になっても父親が怒るようなことをしないでおこうという人生を、なんか知らないうちに歩んでいたことに35歳で気づいたんだよ。
でも、実は父親は、僕が万年平社員で終身雇用とか年功序列を全うするような道を全然望んでなかった。タクシー業界に転職するという話をしたら、もう無茶苦茶応援してると言ってもらって、父親はむしろ僕が挑戦することを望んでいたことを35歳の時に初めて知ったんだよね。
西部 なるほどね〜。
濱 だから一歩踏み出そうとする時、怖いと思う心の壁はすごい健全だと思う。でも、その正体は一体なんだろうと自分のこれまでを振り返ってみて、「こういうことかなぁ」と向き合った上でどう付き合うかみたいなことを具体化して、これだけやってみようかなというプロセスの場数を踏んでいくと一歩ずつ前に進むと思います。僕もそうやって乗り越えてきたかなぁ。
西部 ありがとうございます! 今の話、お二人聞いてどうでした?
南雲 明日から実践できるようなことだったので、参考にさせてもらいます。
濱 がんばって、南雲さん!
宮下 何か始める時には失敗するリスクもあって、結構怖いなと思うこともあるんですけど、小さな成功体験を積んでくことがすごく大事だなぁって思って、私も近いうちには始められたらなと思います。
濱 多分失敗することをリスクととらえると思うんだけど、一番のリスクは、僕は何にもやらないことだと思ってるんだよね。失敗するってことはなぜ失敗したか、どこがおかしかったかを自分が一番わかるから。取り返しがつかない失敗でない限りは自分にとってのプラスだって、自分は小さい失敗をいっぱいしてきているからすごく感じるんだよ。
何もしないことの方がリスクだと思うし、一見失敗と思えるようなことをすることが、実は自分にとって大きな宝物になると思うので、明日からとは言わないですが、いつか思い出してくれるとうれしいなって思います。
宮下 ありがとうございます。
失敗も悩みもパワーに変わる
西部 二人ともどうもありがとう。続いて亜紀ちゃん、いいですか?
永島 ちょっと濱さんに似ていますが、ある程度怖さとかリスクは必要だし、そういうマイナスなものがパワーになるんですよね。悩みからしかやっぱり人は成長しないし、変わらない。私も経営者になった時に失敗するかもしれないと思ったんですけど、逆に成功するとわかっていたら多分勉強もしないし、人脈も作らないし、何もしないと思うんですよね。
やっぱり営業成績が上がらない時こそ考えたし、行動したし、お客さんに意見を聞いて、先輩から学びました。そうすることで少しずつ成長できたことがすごい経験値になっているなぁと思ってます。
だから今となってはちょっと会社の業績悪いなぁとか、失敗しちゃったなっていうときはもうチャンスが来たとしか思ってない。なぜならずーっとうまくいって、ずーっと売れてる人生だったら過去を振り返らないので、天狗になって嫌な人になっていたと思う。
失敗したり、ちょっと悩んでいるような人たちと、私は一緒に働きたいなと思ってます。失敗しない人と一緒に働くのは逆に本当にきついし、多分つまらないと思います。だからウェルカムだと思って、なかなかすぐにはそう思えないかもしれませんが(笑)、でもそういうふうに少しでも思ってもらえたらなぁと思います。
西部 ありがとう。高校生のお二人、どうですか? 失敗や挫折を経験した人もいるかもしれないし、まだそういう経験をしてない人もいるかもしれないけど、今のお話を聞いてどう思われましたか?
南雲 まだ自分が生きてきた中で失敗はまだあまりないですが、それってやっぱり失敗を恐れているからだと思うんですよね。失敗はプラスということを頭の片隅に入れておきたいなと思います。
永島 ありがとうございます。
宮下 大きな失敗はまだしたことがないんですけど、でも小さな失敗はわりとやらかしてるなと思って。テストの点がちょっと悪かったとか、手応えがあったのにうまくいかなかったとか。思い返してみたらよくあるなぁと思って共感できるところはありました。
永島 うれしい。
西部 そうですね。自分で失敗だって認識できることも大事で、そこで人は止まり続けられないから、そこから行動が起こるんだよね。行動が起こると人生、次のステージに進んで行くから、失敗は次のステージに向かうための機動力だと私は理解しています。だからとても大事なんだよね。
やりたいことをどんどん
西部 では、残り時間もわずかですのでクロージングに向かっていきたいと思います。一周ずつ皆さんに感想を伺って終わりにしたいと思います。
濱 皆さん、ありがとうございました。本当に楽しかったですし、久しぶりに群馬を思い出し、群馬の未来のことを思いながら話ができて楽しかったなと思ってます。僕が言いたいことは人生を楽しもう、高校時代を楽しもうということです。
今後何があるか誰にもわからないから高校時代の毎日を大いに楽しんでほしいし、仲間との時間を楽しんでほしい。自分はこういう時が楽しいんだなとか、こういうことを大事に思ってるんだなってことを高校時代に知ることはすごく大事だと思うので、ぜひ仲間と共に楽しい高校生活を送っていただきたいなぁと。いつか僕も群馬に行って皆さんとお会いできたらなと思っています!
西部 ありがとうございました〜。
永島 私も改めて誇れるような学生生活を送ってこなかったなぁと思ってるんですけど(笑)、成績上位でもなく、英語やスキルとか資格があったわけでもないんですけど、でも、最も良かったなと思うのは、自分の持ってる資質を信じて前向きに人生を歩んできたことかなぁと思ってます。
あと生まれ持った資質って必ずあって、話すことが苦手でも調べることは得意だったり、探究心や学習欲があったりとか、数字に強い分析力とかスキルや資格だけでなく、自分の資質の強みをより強くしてくと、困難な時期に必ず自分を助けてくれると思っています。
だから、やってこなかったことにフォーカスして後悔するのではなく、今やれることをどんどん見つけてチャレンジしていってもらいたいと思います。資質に関しては70代になっても80代になってもできることなので、はい。果敢にチャレンジしていただきたいと思っています。ありがとうございました〜。
西部 高校生のお二人も最後のコメントお願いします!
南雲 今日は渋高代表みたいな感じでちょっと荷が重かったのですが、貴重な時間を過ごせたことをうれしく思います。ありがとうございました。
宮下 この企画をこれまで聞いたことがなく、今回のお誘いも学校にメールが来て、生徒会の方に先生が振ってくださって「誰か都合がつかないかな」と言われて初めて知ったんですけど、参加できて良かったなぁと思っています!
西部 うれしいです。
宮下 知名度を上げられるように生徒会の新聞で取り上げたいと思ってます。
西部 本当? ありがとう! うれしいです。今日が高校生の皆さんの世界をちょっとだけ広げるきっかけになればうれしいです。大人の私たちもすごく勉強になりましたし、そういう意味では、県域を越えて縦のつながりを増やしていきたいなと思うので、ぜひお二人のお力をお借りしたいです。
本当に多くの皆さん、最後まで聞いてくれてありがとうございました。そして今日は亜紀ちゃんの妹さんも含め、OBOGの方も活発にチャット欄でコメントをくださってありがとうございました! また何かの形でつながっていけたらと願っておりますので、ぜひ湯けむりSNSのフォローから始めていただき、ぜひまたどこかでオンラインでもリアルでもお目にかかれればと思っております。ほんとに皆さん、貴重なお時間ありがとうございました!
ライター・岩井光子
登壇者
濵暢宏 (株)ワイヤレスゲート代表取締役社長CEO
小中高を渋川市で過ごす。大学卒業後、シャープ(株)に入社。ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート後、複数の新規事業開発に従事。在職中に通ったグロービス経営大学院のご縁で2014年に日本交通(株)に転職後、無線センター長、子会社社長、JapanTaxi株式会社(現:GO株式会社)取締役COOとして「移動で人を幸せに」の実現に貢献。2019年にセブン&アイ・ホールディングス傘下のベンチャー企業に転じ、新たな都市型食品小売事業の立ち上げに携わる。2020年、(株)ワイヤレスゲートの執行役員新規事業本部長に。2021年には代表取締役社長CEO就任、同社の再生と変革に挑む。
永島亜紀 (株)キャリアビリティ 代表取締役社長
前橋市(旧富士見村)出身。新卒で(株)NOVAに入社。個人向け営業に従事し、入社3 年目でマネージャーへ昇格、複数拠点のリーダーを兼任。同社の倒産をきっかけに、営業力を磨くため(株)リクルートジョブズに入社。地場の経営者100人に会い、100通りの経営課題を聞いた経験から「企業は人である」との思いが強くなり、未経験で人材紹介業界へ。2013年エンワールド・ジャパン(株)にアシスタントから入社後、製造業のキャリア支援に強みを発揮しマネージャー・部門責任者を歴任。2022年、「日本のモノづくりを未来につなぐ」を掲げて製造業専門エージェントの(株)キャリアビリティを設立。
西部 沙緒里 株式会社ライフサカス CEO
前橋女子高、早稲田大学卒。博報堂を経て2016年創業。「働く人の健康と生きる力を応援する」をミッションに、働き盛りの人が抱える生きづらさ・働きづらさを社会全体で支える環境づくりを進める。研修・講演事業、コンサルティング・アドバイザリー事業、Webメディア・オンラインコミュニティ事業の3領域で、全国の企業・行政・学校などとさまざまな協業や伴走支援を行う。 NPO女性医療ネットワーク理事、(独)中小企業基盤整備機構・中小企業アドバイザー。2020年東京からUターンし、新たに(一社)かぞくのあしたを設立。高崎市在住。