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【開催レポート】東京から世界から、群馬県民の日に大集合。「全国群馬県人図鑑」初のミートアップイベント! 【後編】
県外に住む県ゆかりのゲストを迎え、高校時代の思い出から群馬に対する熱い思いまで、幅広くインタビューしてきた全国群馬県人図鑑。先日10月28日、群馬県民の日にシリーズ初となるリアルイベント「全国群馬県人図鑑 meet up(ミートアップ)!」が開かれました。
後編では、ゲストがそれぞれ「グローバル」「スポーツ」「学生起業」のテーマ別に班を編成。県内現役高校生・大学生からご年配の方まで幅広い層の来場者と交流しながら、若者も大人も、それぞれが考える明日への一歩を共有しました。
一歩踏み出すための作戦会議
クロストーク後はグループワークへ。大澤さんは「グローバル」、国井さんは「スポーツ」、髙橋さんは「学生起業」のテーマオーナーとなり、各班への参加を呼びかけました。会場参加者はオーナーの呼びかけを聞いた後、関心のあるテーマのテーブルに移動しました。
・グローバル 大澤さんの呼びかけ
「ニューヨーク在住で、なかなか群馬で話す機会は持てないので、留学に興味がある、英語の勉強法、グローバル全般で聞きたいことがある方はこの機会にぜひ!」
・スポーツ 国井さんの呼びかけ
「スポーツに興味のある方とぜひお話したいと思っていますので集まっていただければ。学生や現役プレーヤーのみなさんの声も聞きたいです」
・学生起業 髙橋さんの呼びかけ
「起業の原点は、身の回りで起きたことの小さな違和感をしつこく探究し続けられるかだと思っています。学生の皆さんと、総合学習の時間の取り組み方やテーマ作りなど一緒にできたら」
このうち、髙橋さんがテーマオーナーを務めた「学生起業のテーブル」には、6人が集まりました。エンジニアとして起業を目指す群馬高専生、伊勢崎清明高校の生徒会役員、授業の一環で商品開発に取り組む共愛学園前橋国際大の学生2人、金融教育を専門とする大学生、NY滞在歴19年で今は日本でスタートアップの支援などを行う社会人女性など、多彩な顔ぶれとなりました。
フリートークが始まると、起業を目指す群馬高専の学生からは、髙橋さんに資金繰りなどについて具体的な質問が出ました。今後いくつかのビジネスコンテストに挑戦すると話す学生に、髙橋さんは学生起業支援を行う非営利団体を紹介。「資本政策で間違えないためにも、信頼できる相談先をつくっておくといいのでは」とアドバイスしていました。
続いて、話題は総合学習のテーマへと移りました。伊勢崎清明高校の学生はフィールドワークでみどり市のロックフェスへ行き、その楽しさにハマったことから近隣の高校の軽音部とロックフェスを企画したエピソードを披露。また、起業を目指す高専生は、自分の視覚障害が、今取り組んでいるシステムを発想する原点になったと打ち明けました。
授業の枠に留まらず、探究テーマを次のステップにつなげている2人の行動力には髙橋さん始め、周りからも温かい賞賛とエールが。高校時代には総合学習の時間がなかったという女性も過去を振り返り、アメリカの大学でドナー提供者を増やすキャンペーンを一から立ち上げたことが印象に残っていると話すなど、世代を越えて探究の面白さや高揚感が共有されていました。
その後、各班の代表者が話し合いの内容や感想を全体に向けて発表しました。
・グローバル
「高崎商科大学から来ました。本日は貴重な機会をありがとうございました。グローバルチームは、それぞれがアメリカ、イギリス、中国、オーストラリアなど世界の国々とこれからもたくさん関わっていきたいと話していました。また皆さん、挑戦する若者を応援したい思いも強くて、自分もそんなかっこいい大人になりたいなと思いました」
・スポーツ
「共愛学園前橋国際大学から来ました。本日は貴重な機会に参加させていただきありがとうございます。私は小学5年からずっとスポーツをやっていて、人生をかけてきたので、スポーツから学ぶことはとても大きいと感じています。競技はけがでやめてしまったのですが、今日皆さんとお話ししていて、また挑戦してみたいと思いました」
・学生起業
「群馬工業高等専門学校で電気工学を専攻しています。探究というテーマでそれぞれ高校や中学の総合学習でどんなことをしていたか、またその原体験について話しました。このグループは自分もそうですが、総合学習を授業の中だけに留めず、その先のステップまでもっていく人が多いと感じました。
お互いの熱量に刺激を受けて
その後は、それぞれが夢に向けて踏み出したい一歩、あるいは、この日のクロスロークやグループワークに刺激を受けてやってみたいと思ったこと、サポートしたいと思ったことなどを「私のワン・アクション」として紙に記しました。
記入後は、書いた内容をグループ内で発表し、お互いの未来にエールを贈り合いました。
「グローバル」チームの皆さん
「スポーツ」チームの皆さん
「学生起業」チームの皆さん
以下は、学生起業のグループ内でシェアされた<ワン・アクション>と発表内容です。
<興味のあることに挑戦> 今、商品開発に携わっていて、将来的には起業もしたいです。音楽やファッションも好きですし、自分のさまざまな興味をつないで職業につないでいけたらと思います(女子大学生)/<やりたいことがあったら、できるできないを考えず、挑戦してやってみる!> 考えすぎると行動に移せなくなるので、やりたいと思ったらやる。行動すれば変わるかなと思っています(男子大学生)/<「やりたい」を大切に「やる」こと> 気持ちから行動に移すということが、年齢を重ねると難しくなってくるので、やりたいと思ったらやる。今までもその情熱をエネルギーに動いてきたし、やっぱりそれが大事だなと今日改めて気づかせてもらいました(社会人女性)/<自分の考える問題を見つける> 起業しようと思った原点は、自分の目が悪くなったこと。目が悪いと偏見を持たれることも多くて、だったら自分で社会を変えてやるよっていうような変なプライドからきています。今後は自分が考えたシステムの問題点や課題を精査していきたい(男子高校生)/<ふと頭に浮かんだことを、言語化して記録する!> ことをやりたいと思います。今日参加してみて皆さんの情熱というか、心の中にある思いが強いなと感じました。私はパッと思い浮かんだことや問題意識を頭の中だけで処理する傾向があるので、まずはそれを記録して自分の中で深めていったりして、気持ちを強くしていきたい(男子大学生)/<視野を広く、今まで自分になかったものを見つける‼︎> 自分の好きなことにしか興味がない傾向があるので、自分の世界になかったものを取り入れて、もっと新しい、これまでとは違った考え方をしてみることも大切だと思いました(男子高校生)/<群馬の高校生を応援したい!> 土曜のお休みを返上してこの場に来てくれた高校生2人の情熱がとても素敵だったし、自分の昔のドキドキ感とか、周りに変な風に思われないか心配だった頃の自分を思い返すと、まずこの二人には私のできる範囲の応援をしたいなと思いました。私が高校時代に助けてもらったように、今日来てくれた二人の力になろうと誓いを立てました(髙橋さん)
イベントの終了を前に、改めてゲストとスペシャルサポーターの皆さんから一言ずつ、メッセージをいただきました。
・スペシャルサポーターの髙橋さん
私はグローバルチームにいましたが、ここから世界が広がっていく感じがしました。皆さんが発表したワン・アクションが素敵でしたし、誰もが挑戦者であり、挑戦する人の応援団でもある。自分の中で温めていたものがこうやって人との対話を経て、実現に一歩近づくのだと思います。NETSUGEN(熱源)の名の通り、皆さんのエネルギーをいただいたので、私もこれからバンバンがんばっていきます。ありがとうございました!
・スペシャルサポーターの渡邊さん
私はずっと上毛かるたに関わってきましたので、その話題を最後に。上毛かるたの“ち”の札「力合わせる200万」の札が近々190万に変わります。県も公表していまして、来年の今頃にはもう変わっていると思います。人口減で読み札の数字が変わるのは初めてで、ちょっと寂しい思いもありますが、上毛かるたは誕生してから76年。群馬の人たちはこれまでずっと力を合わせてきましたので、今日この会場に集まった方たちとも何かのご縁ですので、今後も力を合わせていけましたら。
・ゲストの髙橋さん
本日は素敵な機会をありがとうございました。故郷の群馬に携われることを改めてうれしく感じました。私が起業を志したのは16の時。いろんな学校に通いながら挑戦する中でもちろん温かい言葉もあったけど、さまざまなしがらみもあったことを思い出しました。起業のグループに参加してくれた高校生2人の熱量に改めて感激しました。私もまだまだ人を応援するフェーズではないと思うのですが、次の世代につながるような応援の仕方ができたらと思っています。
・ゲストの国井さん
私はワン・アクションを「群馬の仲間を増やす」「群馬に帰る機会を増やす」と書きました。今日こういうご縁ができましたので、片方の「仲間を増やす」は達成できたかなと思っています。またこういう場があれば、ぜひお声がけいただければと思います。最後に「邑楽ユナイテッドFC」、この機会に頭の片隅にでも覚えておいていただいて、5年後になるか10年後になるか分かりませんけど、Jリーグに上がった暁には、「ほんとに上がったな」と言ってもらえるようにがんばりたいと思います。
・ゲストの大澤さん
群馬県民の日に群馬県庁で話すという、個人的には名誉な場にお呼びいただけたと思っております。ニューヨークから来た甲斐がありました。私自身はワン・アクションを「群馬県人を1年間で100人サポート」と書きました。100人留学支援とか具体的なことではなくても人と実際に関わること、やっぱり今日のような対面はいいですね! 群馬に帰って来る機会はこれからもあるので、しっかり場づくりをしていきたいと思います。今日はありがとうございました。
・司会の佐藤アナ
皆さんありがとうございました。大澤さんのおっしゃる通りで、もちろんオンラインの便利さや豊かさもありますが、やっぱりフェイス・トゥ・フェイスですよね。対面で意見交換したり、お話ができる機会は本当に貴重ですし、良い影響を与えてくれることを今日ここにいらっしゃる皆さんが実感したことと思います。本日は本当にありがとうございました!
ライター・岩井光子 写真・大井拓哉
登壇者
大澤 直美 ニューヨーク群馬県人会主宰
1983 年生まれ。高崎女子高校卒。
高校卒業後渡米、NY で大学進学。米CCE認定グローバルキャリアカウンセラーとして2万人以上を支援。
(株) マイナビ米国法人代表をへて2016 年、国際人材育成の総合コンサルティング会社・NY キャリアアカデミーを設立、留学支援などを手がける。英語は独学、TOEIC990点満点。絵本やクールジャパン関連の翻訳も多数。「ニューヨーク群馬県人会(会員185 名:2022 年時点)」会長を務め、ふるさと群馬活性活動はライフワーク。
年間約2カ月を群馬で過ごし、県内の若者育成プロジェクトにも多数従事。2013-14 年、上毛新聞オピニオン委員。2018-19 年、「上毛かるた」英語版改定アドバイザーなど。3 児の母。
国井 健輔
1980 年生まれ。太田市出身。高校時代は野球部に所属。都内の大学卒業後に㈱JTB に入社。群馬県内の支店に配属され、法人営業や地域活性化に関する企画営業を担当。その後、本社およびグループ会社で事業開発・事業管理を経験。現在は都内IT企業に勤務。2020年より、地元・邑楽町からJリーグを目指すサッカークラブ「邑楽ユナイテッドFC」の運営をサポート。
クラウドファンディング企画やスポンサー営業等のビジネス面を中心に支援。クラブの目標は、2029 年までにJ リーグに加盟すること。
3 男児の父。
高橋 史好
2000年生まれ。高校在学中に単身でインドへ。16歳の時、インド人起業家との出会いがきっかけで起業を志す。在学中に「インドJKの日常」というテーマでTikTok の運用を開始。慶應大学に進学後、群馬県でトゥクトゥク( 東南アジアの三輪タクシー) の走行を目指し” TUKTUKing” プロジェクトを開始。桐生市で3台が導入され、2年以内に10台の走行を目指している。
2020年に開設したインド向けYouTubeチャンネルは2週間で収益化達成、現在登録者15 万人。2022年、同YouTube 事業を日本のスタートアップに売却。次の事業に向け準備中。
渡邉 俊 マーケティングリサーチコンサルティングLactivator 代表/(一社)KING OF JMK 代表理事/(財)碓氷峠交流記念財団元理事
1977 年生まれ、安中市出身。大手自動車メーカーでの15 年間のマーケティングリサーチ経験をもとに2016 年独立、日本全国の活性化に飛び回る日々。
故郷・群馬の地域振興にもそのスキルを活かし、2013年から上毛かるた全国大会「KING OF JMK ~おとな達の上毛かるた日本一決定戦~」を主宰。2017 年には、県の観光応援を目的としたスマホアプリ「札ッシュ!! 上毛かるたGO!」をプロデュース。
髙橋 美紀 (一社)なでしこ未来塾理事/ヨガ講師/茨城県よろず支援拠点コーディネーター ほか
1984年生まれ、伊勢崎市出身。(一社)なでしこ未来塾理事ほか、ヨガ講師や茨城県よろず支援拠点コーディネーターなど多彩な肩書きを持つ。在学中よりメディアの仕事をはじめ、TV や舞台・映画の振り付けや出演の他、演出助手・AD などコンテンツ制作の裏と表で活動。
2012 年に拠点を都内から群馬へ移し、多世代交流の場とよそ者視点を活かしヨガ講師として活動。「おおたなでしこ未来塾」一期生として卒塾後、2016 年茨城県へ移住しながら、2020年より(一社)なでしこ未来塾に参画。太田市とを行き来する生活を送る。